「株って何?」子どもはゲームで疑似体験、親は座学…親子向け金融教室 「一緒に学べてよかった」
子ども向けの金融教室が人気だ。キャッシュレス決済の浸透や投資への関心の高まりを受け、子どものうちからお金の正しい知識や判断力を身に付けてほしいと願う親が増えているという。ニュースを見ていた小2の娘に「株って何?」と聞かれ、説明に苦心した記者が東京都内で開かれた親子向けの教室に参加してみた。 (新西ましほ) 【写真】積み立て投資のゲームに参加する高校生たち 「投資っていうのは、会社を応援することです」。土曜日に開かれた「キッズ・マネー・スクール」。ファイナンシャルプランナーで講師の三浦康司さん(53)が、7~11歳の子どもと保護者9組に語りかけた。 アイスの製造会社を例に挙げ、「新しい味が増えたらいいなとお金を出して、引き換えにもらうのが株券」などと投資の仕組みを説明。その後、投資を疑似体験するゲームが始まった。
カードを引いて値動き
まずは、スタッフ演じるゾウやクマなど4人の社長が経営する店の戦略を説明。子どもは千円の資金で、1枚100円の株券をどんな配分で買うかを決める。 娘は「中にくじが入った商品が人気」というパンダのドーナツ屋が気に入り4株を購入。一方で「ユーチューブの見過ぎで寝不足」とやる気のないキリンのパン屋の株は買わず、残り2店に3株ずつ振り分けた。 全員が投資先を決めたら、出来事と株価の変動が書かれたカードを引いていく。<食フェスで人気沸騰。株価上昇プラス20円>と出て「やったー」と喜んだかと思うと、直後に別の店が<口コミにマイナス評価。株価下落マイナス50円>ということも。株価が4回値動きした後、千円がいくらになったかを計算した。 ゲームは3回行われ、好調な店は毎回変わり、利益も出たり出なかったり。三浦さんは「会社がうまくいくときも、いかないときも、好きな会社の株を持ち続けて応援することも大事だよ」と語りかけた。
成人年齢引き下げ背景
スクールを運営するのは一般社団法人「日本こどもの生き抜く力育成協会」(本部・大分市)。代表理事の三浦さんが娘に実践していた金銭教育を基に2014年に大分県内で始めた。投資のほか、お店屋さんごっこを通じて働くことやお金の大切さを学ぶ講座や、電子マネーなど「見えないお金」の使い方を学ぶ講座などもある。約2時間で多くが無料だ。 協会によると、22年に成人年齢の引き下げを背景に高校の授業で金融教育が必須化されたこともあり、学校などからの問い合わせが増加。23年は16年比3倍となる約1500講座を全国で開催した。今年は、新NISA(少額投資非課税制度)の開始や株価乱高下などで関心が高まり、昨年を上回る開催数を見込む。 三浦さんは「他の先進国では小さな頃からお金の勉強をしているのに、日本ではお金の話をするのは品がないとタブー視されてきた」と指摘する。