料理に虫が混入、不眠問題も…苦情相次ぐ選手村の“実情”に伊関係者も問題視「完璧な日本の組織を追っても無駄だ」【パリ五輪】
様々な話題を振りまいているパリ五輪の選手村。大舞台でのプレーに備えるアスリートたちの拠点となるはずだったが、開村時からクレームが集まり続けている。 招致時から「史上最も環境にやさしい大会」を目指したメガイベントの象徴として、あらゆる工夫が凝らされた今回の選手村。しかし、利用するアスリートたちからの評価は一貫して芳しくない。 現地時間8月6日には、英競泳男子代表のアダム・ピーティが、『i News』など複数の母国メディアの取材で「環境への配慮は選手にとって罰みたいなもの。僕は肉が食べたいし、競技で活躍するにも肉が必要。家でも肉を食べていたのに、なぜ強制されるのか」と提供される食事に不満を爆発。「僕は魚も好きなんだけれど、多くの人は、その魚料理にはよく虫が入っていると言っていた。選手村の食事の量は、アスリートが活躍できるレベルに達していない」と仰天のエピソードも告白した。 問題は食事だけではない。提供された部屋も選手たちにとってみれば「ベスト」とは言い難い。 母国紙『Corriere della Sera』の取材に応じた競泳男子1500メートル自由形で銀メダルを獲得していたグレゴリオ・パルトリニエリ(イタリア)は、過去3回の五輪出場の経験をふまえ、「組織の体質は間違いなく最悪だ」と強調。「部屋にはエアコンがないから、暑さのせいで夜中の2時前ぐらいまで眠ることすらできなかった。今の状況は選手村として意味がない。五輪に挑んでいるアスリートをこんな風に扱うべきじゃない」と断じた。 異様とも言うべき選手村への苦情の数々は、環境改善が依然として行われていない証明とも言えよう。そうした現状に識者も嘆きの声を上げる。イタリアの著名医師であるマッテオ・バセッティ氏は、国内の大手通信社『Adnkronos』で「こうした状況は間違いなく良くない。そしてパリにとっても良い宣伝にはならないだろう」と異論を展開している。 「アスリートたちが組織に対して不平不満を言っているのをいつも聞いている。まともに機能していない移動手段、暑すぎる環境、そして不十分な食事。こうした話題がいまだに上がり続けていることがフランスの印象を良くしていないのは明らかだ。前回のオリンピックで完璧な組織力を発揮した日本人を追いかけることは無駄だ。彼らにとって全く役に立っていない」 いよいよ終盤戦に入っているパリ五輪。選手村への苦情は止む気配が見られないが、果たして、改善は見られるだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]