「このチームで勝ちたい」CSファイナル進出の立役者・DeNA戸柱恭孝34歳が常にチームのピンチを救える理由…「試合に出ていないときにやれること」
「勝つことだけを考えて、皆さんと一緒に頑張っていきたいなと思います」 10月13日、阪神に2連勝しクライマックスシリーズ(CS)・ファイナルステージへ進出を決めた横浜DeNAベイスターズの戸柱恭孝は、試合後のヒーローインタビューで、気持ちのこもった表情で、ファンにこう呼びかけた。 【写真】「甲子園が静まりかえった…」快勝の立役者、戸柱のちょっとドヤ顔ほか、ベイ戦士の現場写真を見る この日、戸柱は先発のアンドレ・ジャクソンをはじめリリーフ陣を好リードし、さらにCSにおける球団新記録となる5打点を挙げ、重要な試合で攻守において存在感を示した。
窮地のチームを蘇らせたベテラン捕手たち
振り返れば9月中旬にレギュラー捕手の山本祐大が右腕骨折により戦線離脱し、CS争いをしていたチームに暗雲垂れ込めると思えたが、そこはCS初戦で東克樹のトラブルによる緊急降板から5人のリリーフを巧みに操った伊藤光しかり、戸柱ら経験豊富なベテラン捕手たちの存在はチームに落ち着きを与えている。 ここぞの安定感と信頼感――。 「とにかく準備を怠らないこと。あとは普段から投手と密にコミュニケーションを取ることが大事なんです」 口ぐせのように、戸柱はいつもそう言ってはばからない。
戸柱に救われた伊勢、ジャクソン
その真価が垣間見えたのは、10月1日の広島戦(横浜スタジアム)の8回表、この日で3連投となったリリーバーの伊勢大夢がマウンドに上がった際の出来事だろう。戸柱は投球2球目でフォームとボールの質に違和感を持ち、伊勢本人とチームが大事に至らないため、1アウトしか取れていなかったが降板を勧めた。伊勢も素直に従ったわけだが、バッテリーに深い信頼関係がなければこうはいかない。 また今季、右の先発一番手として躍動した新外国人ジャクソンも戸柱の“観察眼”に救われた投手だ。春先調子が上がらず一度ファーム行きとなったが、5月22日のヤクルト戦(神宮球場)で一軍復帰すると、この日初めてバッテリーを組む戸柱は、ベンチで見ていた印象とファームの動画を照らし合わせ、最善とおぼしきイメージを提案した。ジャクソンも戸柱の意見に納得し、ゲームでは6回、6奪三振、1失点と好投を見せ、以降チームにとって欠かせない投手となった。 「僕は人を見るのが好きですからね」 これも戸柱の口ぐせだ。試合中のグラウンドやベンチはもちろん、練習中、さらにオフモードになるバックヤードでも投手たちの微細な変化にアンテナを立てている。これは今に始まったことではなく、入団2~3年目ぐらいから捕手として心掛けてきたことだ。
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