「このチームで勝ちたい」CSファイナル進出の立役者・DeNA戸柱恭孝34歳が常にチームのピンチを救える理由…「試合に出ていないときにやれること」
このチームで勝ちたい
そんな姿勢と実績を評価されてか、戸柱は昨オフ、FA権を行使することなくDeNAと4年契約を結んでいる。 「ベイスターズに育ててもらったし、このチームで勝ちたいという思いが本当に強いんですよ。入団した年にCSに出場して、翌年は日本シリーズにも出て、あらゆる経験をさせてもらいました。準備することや観察することは当然として、今強く思うのは、やはり選手として使い勝手のいい存在というのが一番なのかなって。スタメンでも行ける、途中からでも大丈夫、締めも任せられる。そして打つ方でも期待に応えられる。そういう選手にならなくちゃって思うんですよ」 34歳の経験豊富なベテラン捕手として、あらゆる場面で適応できなければならない。今季の戸柱を見ていると、まさにそれが実践できているなと思わずにはいられない。 戸柱は「レギュラーを目指さなくなったら選手として終わり」とよく言うが、この揺るぎない気持ちがあるからこそ、山本の離脱という有事であっても、チームを破綻させることなく、CS争いを勝ち抜き、そしてCSファイナル進出に貢献することができたのだろう。
大田泰示と話し合ったこと
ナイスゲームだったとしても、自分のことより「投げたピッチャーを褒めてやってください」と言い、厳しい批判にさらされてもぐっと耐え忍ぶ、チームメイトの誰もが一目を置く存在。視野が広く気づかいのできる優しさを持っている反面、ここぞというときは年長者としてチームを引き締める役割も担っている。思い出すのは春先、今季でチームを離れることになってしまった同学年で早出練習仲間の大田泰示との関係について訊いたときのことだ。 「本当、泰示ほどチームのことを考えている人間はいませんよ。以前、泰示と話していて、ベイスターズは若くて勢いのあるいいチームだけど、明るくて雰囲気がいいっていうのを履き違えてしまうと怖いよねって。“時代”とか言われますけど、やっぱり強いチームってある程度常識内のことはしっかりできているんですよ。泰示とも、ここは自分たちの世代がやらなきゃいけないよねって。きちんとチームを締めるじゃないけど、言える立場にあるので、方向を間違えそうになったときにしっかりと伝えてあげなきゃいけないなって」 ハスキーで味のある声の語気が強まる。今季、残念ながら一軍で大田と合流する機会はなかったが、戸柱は、状況を見ては口うるさい嫌われ役を買って出た。とはいえ、チームメイトに戸柱を悪く言う人間はいない。むしろ、寝ても覚めても投手やチームのことばかり考えているその漢気に信頼は高まるばかりだ。 いよいよ始まる巨人とのCSファイナルステージ。果たして戸柱はキーマンになることができるのか。2017年シーズンにファイナルステージは経験積みだが、あれから過ごした7年間は紆余曲折の日々であり、苦しみながらも成長した実感はある。視野が広く、攻守頼れる“扇の要”としてグラウンドで、そしてベンチでその経験を十二分に発揮するつもりだ。
(「ハマ街ダイアリー」石塚隆 = 文)
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