センバツ高校野球 力強い揮毫でエール 浜松学芸高生が北信越3校のプラカード /静岡
◇熱い思い込め「被災地に勇気を」 3月18日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)を前に、浜松学芸(浜松市中央区)の書道部員が出場3校のプラカードの校名を揮毫(きごう)した。開会式の入場行進で使用される。「優勝してほしい」「力強い書で応援したい」。熱い思いを文字に込めて球児たちにエールを送る。【山田英之】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 担当したのは星稜(石川)、敦賀気比(福井)、日本航空石川(石川)。プラカードの校名揮毫は第80回大会の記念行事として始まった。浜松学芸は「書の甲子園」として知られる第32回国際高校生選抜書展(毎日新聞社、毎日書道会主催)の中部北陸地区で優勝。北信越地区3校の担当が決まった。 日本航空石川を担当した3年の大野未鈴(みれい)さん(18)は、能登半島地震で輪島市の校舎が被災した状況やセンバツ出場決定の知らせを受けて選手が涙を拭う様子をニュースで見ていた。「プラカードを通じて選手たちの背中を押したい。応援の気持ちを込めて力強い字を選んだ」。大野さんにとって高校生活最後の作品。「締め切りぎりぎりまで書いて、良い作品を甲子園に届けたい」と書に向き合った。 南海トラフ地震が発生した場合、静岡県内は大きな被害が想定されている。2年の昇(のぼり)美優亜(みゅうあ)さん(17)は、能登半島地震を人ごとだと思えなかった。「自分の書で球児や石川県の人たちを少しでも勇気づけられたら」。そんな気持ちで「星稜」の校名を書いた。「書道と野球は全然違うものだけれど、全国大会を目指す気持ちは同じ」と考えている。 敦賀気比は2015年のセンバツ優勝校。担当した2年の川坂蓮菜(はな)さん(17)は「あの感動をもう一度味わえるようにと思いを込めた。敦賀気比に優勝してほしい。気持ちが伝わったらうれしい」と話す。選手たちの先頭で入場行進するプラカードの校名を書けたことを光栄に感じている。 書道部を指導する増田与久教諭は「20年のセンバツも日本航空石川のプラカードを担当する予定だった。しかし、新型コロナの感染拡大で大会が中止になり、幻になってしまった。縁があり、つながっている気がする。選手たちは夢の舞台でプレーできる喜びをかみ締めてほしい。全力で応援したい」と話した。