新しい美食の潮流、デスティネーションレストランの未来を担う若き実力派シェフの世界観に迫る
本田:ひろ(片山さん)と会ったのは2017年4月だよね。 片山:僕が開業して、ちょっと経った頃です。レストラン「TIRPSE(ティルプス)」で、33歳以下の若手シェフのイベントがあって、「Margotto e Baciare(マルゴット エ バッチャーレ)」の加山賢太さん、「Reminiscence(レミニセンス)」の葛原将季さん、「abysse(アビス)」の目黒浩太郎さん、元「TIRPSE」のシェフで現Mr. CHEESECAKEの田村浩二さん、元「La Cime」で現「middle」の藤原康浩さん、「TTOAHISU(トアヒス)」の山下泰史さんといった皆さんとご一緒させていただいて、その時だと思います。
本田:当時、俺と「TIRPSE」のオーナーだった大橋直誉と二人で「Seven Samurai(セブン サムライ)」、7人のシェフと7つの日本酒の蔵のコラボディナーをするというイベントをやっていた。 片山:この「Seven Samurai」が僕としては大きな転機になったと思います。地方にいて、僕の店はファインダイニングというカテゴリーではなかったし、皆さんと勝負できるとは思っていませんでした。皆、年齢も近いのに、目黒くんとかは、もう「ミシュランガイド」の星を取っていた。すごくうらやましく思っていました。群馬から東京を憧れの眼差しで見ていて、才能って何だろう、何か自分の殻を壊したいと思っていた時期で、駄目元で応募したら、ご縁があって参加することになりました。 本田:あのイベントがあったから、今の繋がりもある。 片山:そこから始まった繋がりで、シェフ同士、何か力になりたいという関係が、今でも続いているのがありがたいですね。
偉大なるシェフの名言に導かれ、掲げた上州キュイジーヌ
本田:群馬・みなかみ町の「別邸 仙寿庵」でパリ「PAGES(パージュ)」の手島竜司シェフを招いた「Inspire by Relux」というイベントをやった時、ひろには群馬の食材などのアドバイスとか、イベントのサポートをしてもらったよね。その時、2017年に会った時のメモを見返していたら、地元の生産者と繋がって、群馬の食材を調理し、群馬で作られている器に盛りつけた上州キュイジーヌという言葉をすでに使っていた。