「私からすると信じられない」難しいバンクを攻略した阿部将大に帝王・山田裕仁氏が驚き/高知競輪G3・決勝レース解説
現役時代はKEIRINグランプリを3度制覇、トップ選手として名を馳せ、現在は評論家として活躍する競輪界のレジェンド・山田裕仁さんが高知競輪場で開催された「能支・万協よさこい賞争覇戦」を振り返ります。 2024年4月14日(日)高知12R 「能支・万協よさこい賞争覇戦」(GIII・最終日)S級決勝 ※左から車番、選手名、期別、府県、年齢 ①犬伏湧也(119期=徳島・28歳) ②新山響平(107期=青森・30歳) ③深谷知広(96期=静岡・34歳) ④永澤剛(91期=青森・38歳) ⑤坂井洋(115期=栃木・29歳) ⑥⑥大坪功一(81期=福岡・46歳) ⑦清水裕友(105期=山口・29歳) ⑧阿部将大(117期=大分・27歳) ⑨佐藤慎太郎(78期=福島・47歳) 【初手・並び】 ←①⑦(中四国)⑧⑥(九州)②⑨④(北日本)③(単騎)⑤(単騎) 【結果】 1着 ⑧阿部将大 2着 ⑦清水裕友 3着 ⑤坂井洋
難しい高知バンク、戦略や戦術にも影響
4月14日には高知競輪場で、よさこい賞争覇戦(GIII)の決勝戦が行われています。4名が出場していたS級S班を筆頭に、なかなかいいメンバーが揃った記念。これからの中四国勢を背負う存在である、犬伏湧也選手(119期=徳島・28歳)も出場していました。層が厚かったのは、新山響平選手(107期=青森・30歳)と佐藤慎太郎選手(78期=福島・47歳)を擁する北日本勢でしょうか。 犬伏選手と新山選手は、まずは初日特選で激突します。前受けから突っ張り先行に持ち込んだ新山選手に対して、犬伏選手は得意のカマシで勝負。有利な展開をモノにしたのは北日本勢でしたが、このレースを制したのは、中団から捲って最後の直線でも外からいい伸びをみせた清水裕友選手(105期=山口・29歳)でした。清水選手は今年に入ってから、安定した成績を残し続けていますね。
4名のS級S班はキッチリと決勝戦まで勝ち上がり。なかでも、深谷知広選手(96期=静岡・34歳)はなかなかの好気配だったと思います。しかし、決勝戦では連係する相手がおらず、単騎での勝負に。同じく坂井洋選手(115期=栃木・29歳)も、決勝戦では単騎勝負となりました。どちらも自力がある選手ですから、展開ひとつ、立ち回りひとつで優勝争いに持ち込むことができるでしょう。 問題は「どちら」が主導権を奪うのか? 地元地区である中四国勢は、二次予選と準決勝を連勝してここに駒を進めた、犬伏選手がラインの先頭を務めます。勝ち上がれなかった地元・高知の選手のぶんまで、ここは奮闘を期待したいところです。その番手を回るのは、準決勝でも犬伏選手と連係していた清水選手。準決勝では犬伏選手を差せませんでしたが、デキはけっして悪くありません。 3名が勝ち上がった北日本勢は、当然ながら新山選手が先頭。番手を回るのは、先日の川崎記念に続いての決勝戦進出となった佐藤慎太郎選手(78期=福島・47歳)です。そして、ライン3番手を永澤剛選手(91期=青森・38歳)が固めるという隊列。新山選手はここまで1着がありませんが、2番車ならばスタートを取って前受けし、初日特選と同様に突っ張り先行に持ち込むことも可能。この総合力の高さは、やはり魅力的です。 このシリーズでの「台風の目」的な存在だったのが、九州ライン先頭を任された阿部将大選手(117期=大分・27歳)でしょう。初日から1着、2着、1着で勝ち上がり、2着となった二次予選も、後方からの捲りで犬伏選手をよく追い詰めていました。デキもいいのでしょうが、それ以上に高知の500mバンクとの相性がいいというか。その番手は、大坪功一選手(81期=福岡・46歳)が回ります。