髪を憧れの赤色に「もっと頑張って働ける」 小売業でも従業員の髪色自由・ネイルもOK 「否定的な人もいるが…」個性の尊重で人材確保
髪色やネイル、アクセサリーの着用といった従業員の身だしなみに関する基準を緩和する動きが、長野県内の小売業など幅広い現場に広がっている。従来は客に配慮してルールを設ける企業が多かったものの、大手を中心に見直す流れを受け、自分らしく働ける環境づくりが進む。多様性や個性を尊重し、従業員の働く意欲の向上や、深刻な人手不足の中で人材確保にもつなげようとしている。(大久保みちる) 【写真】髪を赤色に染めた女性従業員。「見た目だけで判断されないように、きちんとした接客に努めたい」
これまでは髪は焦げ茶まで、アクセサリーは結婚指輪のみ
綿半ホームエイド(長野市)は9月、運営するスーパーセンターとホームセンター、ドラッグストアの計35店舗で新ルールの運用を開始。安全面や衛生上必要な基準は残しつつ、髪色は完全自由に。ネイルを施すことや、ピアスやネックレスの着用も認めた。
これまでは髪色は染めても焦げ茶まで、アクセサリーは結婚指輪のみ許可していた。男性は髪の毛を染めることさえできなかったが、性別に基づく決まりもなくした。今のところ客からクレームは寄せられていないという。
「自分のスタイルを出せると気持ちが上がる」
従業員もさっそくおしゃれを楽しんでいる。綿半スーパーセンター箕輪店(上伊那郡箕輪町)のパート従業員柳沢愛美さんは、長年憧れていた赤色に髪を染めた。「自分のスタイルを出せると気持ちが上がり、もっと頑張れる」。ただ、客が求めるサービスの質は高まると感じており、「見た目だけで判断されないように、きちんとした接客に努めたい」と意気込む。
同社店舗運営部の進藤遥さんは「食品を扱うスーパーとしてイメージを大切にしていたが、競合(他社)が変わったのが見直したきっかけの一つ」とする。大学生や高校生、外国人の採用の促進にも期待。「自分らしく楽しく働いてもらい、サービス向上につなげたい」と話した。
外国員従業員も在籍 働きやすい環境整備が必要
長野の他、新潟、富山各県でスーパー「原信」を展開するアクシアルリテイリング(新潟県長岡市)は昨年11月から、髪色やパーマなどの髪形を自由にし、ヘアアクセサリーの使用も認めている。同社は、外国籍の従業員も在籍するため、多様性の確保と人材活用の観点から見直した―とする。