【パリ五輪『完全ガイド』】《レスリング・フェンシング》メダル候補筆頭の"最強世代"たちが続々登場
〈7月27日から幕を開ける『パリ五輪』。史上最多58個のメダルに輝いた東京五輪に続き、今大会もメダルが期待される競技が目白押しだ。注目競技の見どころを、レジェンドたちに徹底取材。日の丸アスリートのメダルラッシュに酔いしれよう!〉 【絶対女王】世界ランク1位に君臨 "凛々しく美しい" フェンシング 江村美咲 ◆藤波朱里(あかり)(20)【レスリング】 女子フリースタイル53kg級準決勝 8月8日1:55~(未定) 決勝 8月9日4:15~(未定) レスリング女子53㎏級代表である藤波の金メダル獲得は、もはや必然だ。五輪3大会連続出場を果たした拓殖大学レスリング部監督高谷惣亮(そうすけ)氏が話す。 「五輪4大会連続金メダルを獲得した伊調馨コーチ(40)の下で研鑽を積み、これまで五輪3大会連続の金メダルを獲得した吉田沙保里(41)を上回る公式戦133連勝を記録しています。彼女はタックルをいろいろな角度から繰り出すことができ、技が多彩で、体幹も強い。金は確実で、53㎏級ではライバルが見当たりません。 彼女は金メダルのその先を見ています。僕に『レスリングを広めるために私に協力できることがあれば言ってください!』とメッセージをくれたこともある。ただ強くなるのではなく、レスリングをメジャースポーツにするという使命を背負って戦っている選手です」 シン・霊長類最強女子の伝説が始まる。 ◆須﨑優衣(すさきゆい)(25)【レスリング】 女子フリースタイル50kg級準決勝 8月7日1:55~(未定) 決勝 8月8日4:15~(NHK総合) 前人未到の”2大会連続全試合無失点優勝”へ――。東京五輪レスリング女子50㎏級金メダリストの須﨑が、さらに強くなってオリンピックに帰ってきた。 「彼女の特徴は構えの低さ。腰を地面と平行になるほど落とし、そこから高速タックルを繰り出します。ストイックさも彼女の強みです。今年5月にはレスリング強国であるダゲスタン共和国に単身で武者修行に訪れたことで、外国人選手を力でねじ伏せるパワーも強化されたように思います」(前出・高谷氏) 警戒するべきは、立ち上がりのみだ。 「相手のスタミナが残っている序盤にタックルに失敗すれば、カウンターを食らう可能性はある。ただ、後半は須﨑の独壇場でしょう。ミスさえ犯さなければ、今回も完全優勝が期待できます」(同前) 彼女にとってパリ五輪は、単なる通過点に過ぎない。 ◆江村美咲(25)【フェンシング】 女子サーブル個人決勝 7月30日1:30~(フジテレビ系列) 女子サーブル団体決勝 8月4日3:00~(未定) 「武器はダイナミックに繰り出すロングアタックです。その攻撃力には、強豪国の選手をも圧倒する力強さがあります」 こう語るのは北京五輪でフェンシング日本代表監督を務めた江村の父・宏二氏だ。「突き」だけでなく「斬り」も加わり、躍動力が求められるサーブルで、江村は’22年、’23年と世界選手権を連覇。世界ランクは1位に君臨している。 170㎝の長身を生かした攻撃が魅力だが、3年前は辛酸を嘗(な)めた。宏二氏が言う。 「東京五輪ではメダルを期待されながらも3回戦で敗退。〝燃え尽き症候群〟になった時期もありました。それでも2週間ほど休養を取り、パリへ向け、再び激しいトレーニングを積んできた。気分も一新して、金髪にしたのもこの頃です。 本場・フランス出身のコーチを招き、ヨーロッパ流の繊細なステップを習得しました。それがミックスされて、攻撃だけでなく防御やフットワークも世界一と評価されるほど強くなったのです」 メダルを取れば、日本女子選手初の偉業だ。指導者である前に父として、2度目の大舞台に挑む娘に何を思うのか。 「パリへの出発前に、美咲が家族を食事に招待してくれたんです。ただ、競技の話はほとんどしなかったですね。前回は『五輪ってどんなところ?』など聞かれましたが、今回はそういった話は出てきませんでした。今はとにかく思いっきりやってほしいと、それだけですね」 進化した剣士が、パリの舞台で前人未到の境地を「斬り」開く。 『FRIDAY』2024年8月9日号より
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