22年ぶり快挙の森保JはW杯組と若手の融合に成功したのか?
躍動する攻撃陣を後方から見ながら、左サイドバックの長友佑都(ガラタサライ)は何度もデジャブを覚えた。記憶のなかの日本代表と酷似している。行き着いた答えは、7年前のザックジャパンだった。 「ワールドカップ・南アフリカ大会が終わって、アルベルト・ザッケローニ監督になってからアジアカップで優勝したころの勢いある日本代表を見ているような。僕自身も一緒にプレーしていて、ワクワクしましたよね。このチームは強くなるわ、と」 6月のワールドカップ・ロシア大会でベスト8に進出したウルグアイ代表と、埼玉スタジアムで対峙した16日のキリンチャレンジカップ2018。4日前にソウルで韓国代表に敗れた屈辱を晴らそうと、本気モードで臨んできたFIFAランキング5位の南米の強豪を、森保ジャパンが文字通り力でねじ伏せた。 開始10分にMF南野拓実(ザルツブルク)が3試合連続ゴールを決めて先制する。警戒していたセットプレーで追いつかれるも、同36分にはMF中島翔哉(ポルティモネンセSC)が放ったシュートのこぼれ球を、ロシア大会で活躍したFW大迫勇也(ベルダー・ブレーメン)が押し込んだ。 後半12分にミスから再び同点にされても、誰も下を向かない。わずか2分後に東京五輪世代の20歳、MF堂安律(FCフローニンゲン)がA代表初ゴールを突き刺し、同21分には南野が再び埼玉の夜空へ咆哮をとどろかせた。2度のワールドカップ優勝を誇るウルグアイから、22年ぶりとなる白星をもぎ取った。 森保一監督が初采配を振るった9月のコスタリカ代表戦で躍動した中島、堂安、そして南野がまたもまばゆい輝きを放った。中島がボールを持てば何かを起こしてくれるとスタンドが沸き、堂安はハードワークでもフィジカルの強さを発揮し、南野は貪欲にゴールを追い求める姿勢を貫き通した。 「気持ちがいいよね。イケイケだし、恐れることなく伸び伸びと楽しんでプレーしているから。テンポも速いし、おっさんはついていくのが必死でしたよ。あそこまで堂々とプレーできるのは、ある意味で芸術的なメンタルですよ」 試合後の取材エリアで笑顔を絶やさなかった長友は、中島を「ドリブルお化け」と賞賛しながらあるエピソードも明かしてくれた。ガラタサライのチームメイトでもあるウルグアイの守護神で、ワールドカップに3度出場したフェルナンド・ムスレラと試合後に言葉を交わしたときだった。 「日本はこんなにも強いのか、と言ってきたんですよ。それも、お世辞でも何でもなく本気の目で」