22年ぶり快挙の森保JはW杯組と若手の融合に成功したのか?
長友が中島へ「自由にしていいぞ」と声をかける
たとえば左MFを主戦場とした中島は、ボールを持てば徹底的に個の勝負を挑んだ。 ストップ&ゴーを小刻みに繰り返す変幻自在なドリブルで、王者ユベントスでもプレー経験のある対面の右サイドバック、マルティン・カセレス(ラツィオ)を翻弄し続けた。 後方で中島をフォローした長友は、キックオフ前に「自由に攻撃していいぞ」と声をかけている。エースの証である「10番」を背負う24歳に安心感を与えながら、状況によってはフリーランニングを仕掛けた。 「このレベルになると、なかなかシュートまで行かせてくれない。そこで僕が走ることによって2対1の数的優位にして、(中島)翔哉がシュートを打てる状況を作れればいいかなと思って」 実際、後半の立ち上がりに中島は立て続けに3本のシュートを枠内へ放っている。自身のプレースタイルを理解し、労を惜しむことなく巧みにアシストしてくれた長友に、中島も感謝の思いを捧げている。 「前回のコスタリカ戦のショウ君(佐々木翔=サンフレッチェ広島)もそうでしたけど、僕がプレーしやすいように気を使ってくれた部分もあると思いますし、本当に楽しくプレーできました」 ロシア大会のレギュラー6人が復帰した10月シリーズで、森保監督はコスタリカ戦で活躍した若手や中堅たちとの「融合」をテーマに掲げていた。左サイドでは長友の献身的なサポートと衰えを知らない運動量を介して、8歳違いの2人が良好な関係を保ち続けた。 右サイドでは不動の右サイドバックに君臨する酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)が、堂安の後方で頼れる存在感を放ち続けた。加えて、密集地帯で以心伝心のワンツーを成功させる形で、堂安のゴールをアシストしている。8歳年上の先輩へ、堂安も「すごくやりやすかった」と笑顔で振り返った。 「サイドなので守備を求められますが、ヒロキ(酒井)君がきついところをサポートしてくれた。ゴールのシーンは、ヒロキ君に『頼むから(パスを)返してくれ』と思っていました。左利きの選手ならば、あれは決めなければいけないコースでしたね」 ボールをしっかりと収め、南野を含めた2列目の3人が縦へ抜け出す時間を作り続けた大迫は「一緒にやっていてすごく楽しかった」と笑顔を浮かべながらも、課題を挙げることも忘れなかった。