ハードル下がり将来は「再審有罪」も? 相次ぐ再審開始決定、法改正に先駆けた現場の変化
一方で、検察の対応が変わってきているとする見方もある。
再審に関する審理は、再審を開くかを決める「入り口」である再審請求審と、判決を下す「出口」である再審公判の2つで行われる。
両方で厳密な審理が行われるため長期化しがちで、「詳細な審理は再審公判に絞るべきだ」とする指摘がある。
検察の変化は、袴田さんの事件での不可解な動きに現れている。
「入り口」である再審請求審で昨年3月、東京高裁が再審開始を決めた際には特別抗告を断念した一方、同10月から始まった「出口」に当たる再審公判では、有罪の主張を維持したのだ。
この動きは、有罪か無罪かの判断を争う主戦場を「再審請求審ではなく再審公判にするべきだ」とする考えを念頭に置いて、初めて説明が付く。
一連の検察側の対応は再審を開始しやすくしたともいえるが、無罪の可能性を精査し切らないまま、審理を再審公判に譲ったともいえる。理論的に「再審有罪」判決が出る可能性が高まることになる。
法務省が来春にも再審制度の見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問することを検討するなど、盛り上がる改正論議。再審手続きの改正には、「再審有罪判決の可能性」をどこまで絞るかという視点も求められる。(荒船清太)