「ウザい!ダルい!」子どもの“口の悪さ”どうにかしたい…元小学校教諭が教える、言葉遣いが自然と良くなる“習慣”
子どもの口が悪すぎて…そんなとき、どうすれば?
「うちの子、最近口が悪くて困ってる…」 YouTubeの影響や、友達関係など、子どもを取り巻く環境は複雑化し、言葉遣いの乱れが気になる場面も増えているのではないでしょうか。 【こちらも話題】元国語教師が実践した、頭も心も「賢い子」を育てる1日30分の育児法 そこで、ポットキャスト2冠を達成した人気番組「子育てのラジオ『Teacher Teacher』」のMCで、元小学校教諭の福田遼さんと、同番組のプロデューサーである秋山仁志さんの著書『先生、どうする!? 子どものお悩み110番』(PHP研究所)から一部抜粋して、「Q.子どもの口の悪さが気になります」というトピックスをご紹介。
Q.子どもの口の悪さが気になります
YouTubeの影響か、子どもの口がどんどん悪くなっていきます。友だちとゲームをしているときなど、かなり言葉遣いがひどいです。どうしたらいいでしょうか?
なんで、「悪口」はダメなのか?
【ひとし】 お子さんの口の悪さについてのお悩みですね。YouTubeからは影響を受けやすそうなイメージがあるね。 【はるか】 そうだね。今日は、お子さんにこんな語りかけをしたらいいですよ、という内容を具体的に紹介したいと思っています。※1 実はこのポッドキャストって、結構子どもも聞いてくれてるらしいんだよね。 【ひとし】 たしかに、「子どもと一緒に聞いてます」って言ってくださるリスナーさんもいるよね。 【はるか】 なので今回は、お子さんにそのまま聞いてもらうつもりでお話ししてみたいなと思います。じゃあひとしくん、子ども役をしてくれる? 【ひとし】 はーい。 【はるか】 「悪口はダメ」「悪い言葉遣いは良くない」ってよく言われると思うけど、ひとしくんは、悪口ってなんでダメなんだと思う? 【ひとし】 うーん、言われたお友だちが嫌な思いをしちゃうからかな? 【はるか】 おぉ、相手の気持ちを考えられてるんだね。でも実は、悪口とか悪い言葉遣いって、周りの人だけじゃなくて、一番はひとしくん自身に悪影響があるものなんだよ。 【ひとし】 え、僕?? 【はるか】 そう。たとえば、お友だちとゲームしてるときに「クソー!」って言ったり、お友だちの悪口を言ったときって、ちょっと楽しい気分にならない? 【ひとし】 うーん、なるかもしれません。 ※1 参考文献『心を育てる語り』(渡辺道治著、東洋館出版社) 【はるか】 実はね、悪口を言ってるときは、脳の中でドーパミンっていう物質が出るようになってるんだ。だからお酒を飲んだり、薬物を摂取したときと同じように依存性があるものなんだよね。悪口を言えば言うほど楽しくなるし、もっともっとその楽しさがほしくなる。だから、悪口をちょっと言ってたら、どんどんひどい言葉にエスカレートしていって、いずれは悪口しか言わなくなる……なんてことが起きちゃうんだよね。 【ひとし】 へぇー、そうなんだ。 【はるか】 しかもね、悪口を言うと、ドーパミンだけじゃなくて、ストレスホルモン※2も出るようになってるんだ。これは体や脳に悪い影響を及ぼす物質で、ひとしくん自身がかなりしんどくなる。これを知ったら、悪口ってちょっと怖いところもあるなあ、と思わない? 【ひとし】 うん。 【はるか】 逆に良い言葉を使うとどんな影響があるかっていうのもお話しするね。 「うれしいな」とか「ありがとう」「最高!」とかって良い言葉を使うと、脳の中でベータエンドルフィン※3という幸せを感じる物質が出るんだ。これがたくさん出ると、病気から体を守ってくれる免疫力が高まったり、脳が活発に動いて物覚えが良くなったり、ストレスが解消されて気分が上がったりするんだよ。ひとしくんにとって良いことがたくさんあるから、これからは悪い言葉を使いたくなったら、良い言葉に変換するようにしてみようよ。 【ひとし】 うん、わかった! ……という話をするわけか。 【はるか】 そうそうそう。学級で、脳の絵を描いたりしてこの説明をすると、子どもたちは「えー、知らんやったー!」って、かなりおもしろそうに聞いてくれるんだよね。さらに、「悪口を聞くほうも同じようにストレスがかかるんだよ」ってことも伝えると、クラス全体で「悪口や悪い言葉をなくそう」ってムードができあがるんです。 【ひとし】 なるほどね。 ※2 ストレスホルモン:ストレス刺激によって体内に放出され,ストレス反応を引き起こすホルモンの総称。代表的なものに、コルチゾールやアドレナリン、ノルアドレナリンなどがある。 ※3 ベータエンドルフィン:脳内神経伝達物質のひとつ。痛みをやわらげる、ストレスを軽減する、多幸感をもたらすなどの効果が得られる。モルヒネに似た働きを持ち、「脳内麻薬」と呼ばれることもある。 次回は、悪い言葉を言ってしまったときに実践したい「なしなしルール」について詳しくご紹介します!