エヌビディアに続くAI勝ち組を探せ-ウォール街が新興国に照準
これまでのところ、特に注目されているのはTSMCや鴻海精密工業など、AIブームの前から既にテクノロジー業界のリーダーだった企業だ。
台湾株に投資するJPモルガンの単一市場ファンドには、TSMCと鴻海精密工業のほか、同業の聯発科技(メディアテック)が組み込まれており、1400余りある同種ファンドの96%に対してアウトパフォームしている。
JPモルガン・アセット・マネジメントの新興国市場・アジア太平洋株式担当責任者、アヌジ・アロラ氏は「これまで大手企業のサプライヤーだったテクノロジー企業は、それら自体が重要な企業として台頭してくる可能性がある」と指摘。「この技術をいち早く取り入れたことにより、そうした企業はより新しい進化を活用する上で、競合他社よりもはるかに先を行っていることになる」と述べた。
ブームはなお広がり続け、資金を投入する投資家が増えている。
例えば、資産家クァク・ドンシン氏の一族が過半数株を保有する韓国のハンミ・セミコンダクターは、年初来の株価上昇率が約120%と、MSCI新興市場指数の構成銘柄で最も高い。また、ブルームバーグの集計データによると、外国人の持ち株比率がここ数週間で上昇している。
ベトナムでは、情報技術(IT)サービスのFPT株が今年に入り20%近く値上がりし、アシュモアEMフロンティア株式ファンドを米国のアクティブ運用新興国市場ファンドの中でトップの運用成績に押し上げた。
ブルームバーグがまとめたデータによると、新興国市場に特化した上場投資信託(ETF)では今年流入した全資金の半分余りを「iシェアーズMSCI新興国市場ETF(中国を除く)」が占め、その上位10保有銘柄にはAIに投資している企業が含まれている。
また至る所で、AIへの進出を表明した既存企業が新たな投資家の関心を集めている。
サウジアラビアは中国のAIベンチャーの一大拠点となりつつあり、アリババグループがサウジ・テレコムとクラウド業務で提携したのがその一例だ。