ドライバーに無償労働させる荷主に公取委が激おこ!? 「物流特殊指定」で初めての行政処分!
物流特殊指定ではじめての行政処分
いっぽう、公取委が調査を進めていた管工機材・住宅設備大手の橋本総業については、2024年12月12日に「確約手続に付す」として調査を終了した。 確約手続は、独禁法違反の疑いがあるとされた事業者が改善のための「確約計画」を提出し、公取委が認定することで早期解決を図るという独禁法に基づく行政処分だ。物流特殊指定による行政処分は制度開始から20年ではじめてとなる。 公取委の発表によると橋本総業は売上高が上位の優越的地位にあるが、運送業務を委託している物流事業者に対して、遅くとも2017年以降、次のような違反の疑いのある行為を行なっていた。 ●一部の物流事業者に対し、当該事業者の責めに帰すべき理由がないにもかかわらず、「お支払割戻金」と称して所定の代金から一定率を乗じて得た額を減じた。また、当該代金を金融機関口座に振り込む際の手数料を減じていた。 ●一部の物流事業者との間で、1日当たりの業務時間やいわゆる「残業」に係る運賃について取り決めず、日又は月単位の定額運賃を設定し、法定時間外労働を要するような長時間の運送業務を、同種の業務と比較して著しく低い運賃で委託した。 ●1日当たりの業務時間等について取り決めがあった一部の物流事業者に対して、この業務時間を超える業務に係る運賃について取り決めていないことなどから、時間外の業務を無償で行なわせていた。 ●委託内容に含まれていない運送以外の付帯業務について、あらかじめ取引条件等を取り決めることなく、一部の物流事業者に無償で行なわせていた。 橋本総業は、これらの行為を取りやめることや、物流事業者の損失に対して金銭的価値を回復すること(発表時点で25社に対して総額約3800万円という見込み)など、「確約計画」を公取委に提出していた。 これについて公取委は、当該行為を排除するために充分な措置であり早期回復が図られると認め、確約手続の通知を行なった。なお、計画の履行状況は弁護士などの第三者による監視が義務化されており、この措置を今後5年間実施する。計画が実施されていない場合、認定を取り消し調査を再開することになる。 橋本総業は「認定を受けました確約計画を確実に実施するとともに、独占禁止法遵守をはじめとするコンプライアンスの徹底を一層強化し、物流業者各位と真のパートナーシップを構築して、お取引先様のご期待に応えられるよう事業活動を進めてまいります」とするコメントを発表している。 ちなみに、2024年11月には荷主の悪質な行為を取り締まる「トラックGメン」が体制を拡充し「トラック・物流Gメン」に改組され、11・12月を「集中監視月間」として情報収集を強化している。公取委など関係当局との情報共有も行なわれるそうで、物流の2024年問題を踏まえて、政府が悪質な荷主の取り締まりに本腰を入れている。