ゆとり先生の教育提言(3) 「18歳成人」高校生はどう考える?
成人式は20歳のまま?
私は現在携わっている、学校の枠を越えた高校生の自主活動団体「#おかやまJKnote」(以下JKnoteと記します)には岡山県内17の高校から30名の生徒が参加しています(2020年3月現在)。JR岡山駅から徒歩8分の商店街内に「シェア部室」という活動の拠点を持っており、毎週1回夕方にミーティングをしています。ミーティングの中でメンバーの高校生は自分の「やりたい」を提案し、地域の人たちの協力を受けながら次々と実現させています。 この活動の中で、昨年4月から「18歳成人時代の理想の高校生活」を様々なイベントの企画を通して学んできました。その際、高校生たちが一番気にしていたのは「成人式はどうなるのか」ということ。多くがまだ高校に在籍している中で18歳での成人式を1月に実施することの難しさ、その代替案など高校生目線で検討を重ねていました。 そのような中、岡山市をはじめとする全国の自治体の多くは、法改正後も今まで通り20歳になる年度の1月に「二十歳(はたち)のつどい」等と名前を変えて「従来通り」の式典を行うことを発表しました。18歳で成人になったことはスルー。JKnoteの高校生の多くは、「なぜ、法的に成人と認められる年に「先輩成人」である大人たちは18歳の「新入り成人」を迎えてくれないのか」と、強い違和感を覚えていました。 18歳で成人式を行わない理由として、行政の多くは次のようなことをあげています。 (1)1月の成人式は18歳にとって受験の時期と重なる (2)多くが高校在籍中である18歳では同窓会的な楽しみに欠ける (3)進学・就職を控えた中で振袖などにかかる親の経済的負担が大きい (4)もう少し社会で経験を積んでからの方が大人としての自覚があり充実した式典になる (5)法改正後初の成人式である2023年1月は対象者3学年同時になり会場キャパを超える (6)1月に20歳で行うことが定着し、当事者もそれを望んでいる どれもアタマの固い大人の発想です。それぞれの理由への反論をJKnoteの中で考えたので挙げてみましょう。 【(1)への反論】確かに1月開催だと受験の時期と重なり、参加できない人も多く、現実的ではありません。それでは1月以外にすれば良いのでは?? 【(2)への反論】同窓会は同窓会で20歳になったときにすれば良いのでは?わざわざ20歳の同窓会のために行政が予算を使って式典をする必要性があるのでしょうか。 【(3)への反論】「成人式は振袖を着る」という前提での話であり、そして経済的負担感は世帯ごとの格差があるのは当然で、それは18歳だろうと20歳だろうと変わりません。18歳で成人式を開催しない理由としては弱いです。 【(4)への反論】18歳で大人扱いする気がサラサラないというホンネが見えています。成人年齢を18歳に引き下げたのは大人世代であり、高校生世代が望んだことではありません。勝手に大人設定しておいて経験不足の子ども扱いですか? 【(5)への反論】2023年1月のみの特殊なケースであり、恒久的に18歳で成人式を行わない理由にはなりません。 【(6)への反論】今年1月、18歳~20歳世代100人に「成人式に期待することは何?」というアンケートをとったところ、60%以上が「同窓会でお酒を飲む」「振袖を着る」という回答をしました。当事者の多くが望んでいるのは行政主導の式典そのものではないのです。