ハリウッドに飛んでけ!『SSFF&ASIA2024』グランプリ!森崎ウィン監督『せん』を観た!
【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】
まもなくフィナーレを迎える『ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2024』。 リアルとオンライン会場の二刀流で開催されていたのですが、先日、一足先にリアル会場でクロージングが行われました。そこで発表された、当映画祭のグランプリにあたる「ジョージ・ルーカス アワード」を、大河ドラマやミュージカルでも活躍する俳優の森崎ウィンさんの監督作品が受賞。 俳優の監督作が受賞するのは、映画祭史上初めてだそうです。 この賞をとると映画祭から正式に米アカデミー賞へ推薦状が送られるということなので、監督自身もハリウッド映画出演経験もあるから、現場の空気も知っているだろうし「とっとと注目されて、監督としてもハリウッドに進出してしまえ!」と思いました。 作品は、中尾ミエさんが演じる田舎の一軒家で一人暮らしをする老女の生活を、淡々と切り取っていく物語なのですが、なんと、全編ミュージカル! 「短編でミュージカルって、何曲も歌えないんじゃない?」って思ってたのですが、なんとほぼ同じ旋律。しかも、多分メロディがドレミドレミドレミファソラシド、みたいなかなり聞きやすい音の運び方。 伴奏もかなりシンプルなピアノの和音の繰り返しで、時々アクセントで別の楽器が2,3音鳴らすだけ。まるで「24分1曲」という感じでした。更に、窓を開ける音から始まり、お仏壇のチーン、料理の音から物を置く音まで、全て曲の邪魔をしないというか、調和していて生活音がもはや曲の一部。映画は、あとから効果音をつけることが多いから、かなりこだわったんじゃないかな? この「繰り返し」と「生活音」の効果が、歌詞の中で何度も出てくる、この作品のテーマ「変わらない」を、非常に効果的に表していました。 監督も出演されているのですが、その場面だけちょっと曲が、皆さんが想像する「ミュージカルっぽい曲」になっていて「あ、おばあちゃん、イケメンが来てハシャいでる」と、勝手に受取り笑みがこぼれました。 で、この「変わらない」というテーマ。 かなり、重いです。 田舎の一軒家しか出てこない作品で、よくぞここまで広くて重いテーマを書ききったな、と、ただただ感服しました。 今年も、豊作だったなぁ。来年も楽しみ! まだまだ観る機会があると思うので、皆様ご注目下さい!
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