黒部の新たな観光ルートを取材した、富山県が挑む「世界ブランド化」と周遊観光、黒部宇奈月キャニオンルートとは?
基本コースの運営主体はJTB、各旅行会社が肉付け
富山県地方創生局 観光振興室課長の高田敏暁氏は、キャニオンルートの一般開放が実現した背景に、「立山黒部」の世界ブランド化を目指す動きがあったと話す。 2017年には、県内の関係者が世界水準の滞在型・体験型の山岳観光地とすべく「『立山黒部』世界ブランド化推進会議」を設置。「予算を持った事業体ではないが関係者が集まり、目指す姿の実現に向けた協議を進めてきた。そのプロジェクトの1つとして提案されたのが、関西電力が公募抽選制で実施していた同ルートの一般開放だった」(高田氏)。 旅行商品化とツアー運営に向けては、主体となる事業者を公募し、JTBに決定。JTBは基本コースの商品造成と旅行会社向け、消費者向けの販売のほか、キャニオンルート内の専属ガイドの育成もおこなう。基本コースは、1泊2日の4コース。日本国内はもちろん、外国人観光客の需要も見込んでおり、2023年にはインバウンド向けモニターツアーも実施した。 1.宇奈月発1便:宇奈月温泉(泊)→欅平→キャニオンルート→黒部ダム 2.宇奈月発2便:宇奈月駅→欅平→キャニオンルート→黒部ダム→室堂(泊) 3.黒部ダム発1便:大町温泉郷(泊)→黒部ダム→キャニオンルート→欅平→宇奈月駅 4.黒部ダム発2便:黒部ダム→キャニオンルート→欅平→宇奈月温泉(泊) 販売価格は、(2)宇奈月発2便の場合で宿泊費を含めて13万円程度を想定。これに、キャニオンルートの販売を希望する旅行会社が、出発地からの交通や前後の観光、宿泊など付けてオリジナルのパッケージツアーを企画し、追加手配の内容を加えた価格での販売となる。 高田氏は基本コースの料金設定について「立山黒部アルペンルートや黒部峡谷トロッコ電車、宿泊の費用が入ることに加え、専門ガイドと安全確保を目的とする安全添乗員も同行する。ツアー実施に必要な要素を含めた料金設定」と説明。旅行商品化に向けた有識者による準備会議では「富山を代表するような品質のツアーにすべき」や「安売りせず、中味を充実させることが重要」との意見もあがり、「これらも勘案した結果」と説明する。