最近増加している『白内障本』には注意…金儲けがしたい眼科医の怪しいたくらみ
企業出版にあふれかえる「白内障本」
最近、白内障手術に関する本が次から次へと出版されている。著者はすべて眼科医であるが、全く別の人たちである。以下にタイトルのみを紹介する。 【写真】徹底比較…白内障治療の「松・竹・梅」 『人生が変わる白内障手術』、『最高の白内障手術』、『「バラ色の毎日」を叶える白内障手術』、『白内障手術革命』、『白内障手術で絶対後悔しないための本』、『若い頃よりよく見える眼を手に入れるリフラクティブ白内障手術』、『図解 白内障かなと思ったら読む本』、『スゴ腕眼科医が教える 白内障手術』、『「一生よく見える」を手に入れる白内障手術』などなど。 ここに紹介した「白内障本」にはひとつの大きな特徴がある。表紙に、すべて大手出版社「幻冬舎」の名前がついていることだ。 ただ奥付を見ると、発売元は幻冬舎だが、発行元は幻冬舎メディアコンサルティングである。発行と発売元が異なるのは、自費出版でよくみられる。 つまり、「白内障本」はすべて幻冬舎の企画した本ではないということだ。 簡単に言えば、発売元の幻冬舎は「看板」を貸しているだけで、実際は、別会社の幻冬舎メディアコンサルティングが出した本である。 幻冬舎メディアコンサルティングの会社概要には、出版を通じた企業のブランディング支援・コンサルタント業務とある。 「企業出版ダントツNo. 1」なのだという。 自費出版という言葉は聞いたことがあるかもしれないが、企業出版は聞きなれない。 企業出版とは顧客から費用を受け取り、それぞれの企業価値を高め、ライバルと差別化できるような出版物をつくった上で、企業のブランディングを行うものである。 顧客との打ち合わせから始まり、企画立案、原稿執筆、デザイン、編集、書店流通やプロモーションなどまですべての責任を負っている。企業価値を高めるために至れり尽くせりの仕事を請け負っているのだ。 一般的な自費出版と違い、費用はかなり割高となるが、企業は必要経費として、広告費などに計上することができる。 この方式で出版された幻冬舎の「白内障本」たち。奥付にはちゃんと発行元に「幻冬舎メディアコンサルティング」とあるが、ほとんどの人は、本の表紙だけを見て、「幻冬舎」の出版物と勘違いしてしまう。それも狙いの1つなのかもしれない。 また、同社の企業出版には「医療本サービス」という分野がある。 この分野で出版される書籍は「患者を集めること」「患者の信頼性を得ること」「自由診療(自費診療で非常に高額)の効果を深く理解してもらうこと」などを支援するものという位置づけがなされている。 具体事例として、表紙と著者の写真つきで『最高の白内障手術』を「開業後まもなく出版!わずか7カ月で1000件以上の手術依頼が殺到!」と大成功をアピールしている。 つまり、冒頭に紹介したすべての「白内障本」は、全国各地の眼科医院が高いお金を払って、「幻冬舎メディアコンサルティング」につくってもらい、眼科医院のさまざまな宣伝に使っているわけだ。それも、眼科医はインタビューを受けて、原稿執筆などはライターがやってくれるから、面倒な出版作業の負担はほとんどない。