不正入手したクレカ情報で化粧品転売 ヤクザを手下にする国際犯罪組織の闇
不正入手したクレジット情報で購入した化粧品などをフリーマーケットアプリで転売したとして、1月に暴力団員らが逮捕された。彼らは実行犯に過ぎず、首謀者として海外の犯罪グループがからむ可能性があるという。海外の犯罪グループが陰で糸を引き、日本人から金銭をだまし取る事件は後を絶たず、専門家は「性善説が浸透している日本は格好のターゲットになっている」と警鐘を鳴らしている。 【イラストでみる】小学生がパスワード突破、100万円以上も多発するゲーム課金 ■フリマアプリで転売 昨年6月、横浜市のマンションの一室。捜査員が家宅捜索に入ると、50箱以上の段ボール箱が所狭しと積み上げられていた。「足の踏み場もない状態だった」と捜査関係者は振り返る。段ボールには、化粧品や乳児用品など約200点が入っていた。 発端は同月に奈良県内の輸入販売業者から、「不正利用のクレジットカードで商品をだまし取られた」と奈良県警に連絡があったこと。配送先はクレジットカードの持ち主とは全く関係がない前述のマンションの一室だった。 このマンションを拠点にしていたのは、住吉会系の暴力団員の男(51)らのグループ。他の何者かがフィッシング詐欺などによって不正に入手した他人のクレジットカード情報を使い、ネットショップで購入した物品をフリマアプリ「メルカリ」などで転売していたという。 ■組員らは末端「小遣い稼ぎ」か 県警は今年1月までに、詐欺などの容疑で男ら5人を逮捕。グループによる被害は、令和5年5~6月で輸入販売業者や製薬会社など38社で計約150万円にのぼるとみられる。クレジット会社から不審に思われないよう同じカードで連続取引せず、1回の決済を1万円未満に抑えるなどして発覚を免れる対策を取っていたとみられる。 ただ、男らは末端に過ぎず、1件につき10%程度の報酬を得ていたとみられ、捜査関係者は「小遣い稼ぎ程度だったのでは」と推測する。では、誰が男らに指示を出していたのか。 捜査が新たな局面に入ったのは今年5月。県警は資金回収役として、詐欺などの疑いで中国籍の女(42)=東京都江戸川区=を逮捕した。 グループの収益金の送金先の口座などを捜査する中で浮上してきたといい、女は「報酬が良かったので、売上金の回収役と通訳人として加担した」と供述。収益が中国など海外に渡った可能性もあり、県警は犯行グループの首謀者について慎重に調べている。