「金」を売って利益が出たら確定申告は必要? 株式投資の申告方法とは違うの?
金価格の高騰が続く中、金地金や金貨を売却して利益を得る人が増えています。しかし、金の売却益はどのように課税され、確定申告が必要なのか気になる方も多いのではないでしょうか。本記事では、金の売却益に対する課税方法を株式投資と比較しながら、確定申告の必要性や注意点を解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
金価格の高騰:2023年の背景
金価格はここ20年で大きく上昇し、2000年以降では約10倍、直近の2023年8月には国内小売価格が1グラム1万円を突破しました。この歴史的な高値更新は、ウクライナ問題や世界的なインフレ、ドル円相場の変動などの影響を受けています。金は安定した資産として評価され、地政学的リスクや通貨価値の変動時に注目を集める傾向があります。これらの要因から、多くの人が資産の一部を金として保有する意義を見直しているのです。
金の売却益にかかる税金の基本
金を売却した際に税金が課されるのは、売却額から購入額と売却費用を差し引いた「売却益」に対してです。具体的には、「売却額-購入額-売却費用=売却益」という計算式で求められます。購入額が不明な場合は、売却額の5%を購入額として計算するルールがあり、この場合は売却益が増えるため税負担が大きくなることがあります。最終的に税金が課されるのは、売却益から特別控除などを適用した後の「課税所得」であり、この金額をもとに税額が決まります。課税所得は所有期間や他の所得との合計によっても影響を受けるため、注意が必要です。
株式投資と金の売却益の違い
株式投資と金の売却益には課税方法に大きな違いがあります。 株式投資の場合、課税方法は「分離課税」であり、売却益には所得税15.315%と住民税5%を合わせた一律20.315%の税率が適用されます。また、株式投資では損益通算が可能で、他の株式の売却損と利益を相殺することで税負担を軽減する仕組みがあります。 一方で、金の売却益は「総合課税」が適用され、他の所得(給与所得や事業所得など)と合算して累進課税が課されます。 そのため、金の売却益にかかる税率は所得金額に応じて5%から45%、住民税を含めると最大55%に達する可能性があり、株式投資と比べて税率が高くなる場合があります。