身近な人が認知症になったときに気をつけること【長生きでも脳が老けない人の習慣】
認知症の人の「ごめんね」は、どう返せばいい?
認知症の方が、急に家族やまわりの人に「ごめんね」「こんなこともできなくなっちゃって……」と言い始めることがあります。 「ごめんね」と言われると、「認知機能が衰えて、いろんなところで面倒かけてごめんね、と謝っているのかな」と思ってしまいます。そんな心情を察すると、謝られるほうもとても悲しいし、つらいですよね。 でも、少し冷静に捉えたほうがいいケースがあります。その「ごめんね」は、認知症の方によくみられる「とりつくろい」反応かもしれません。 認知障害のある人は、自分の状況がわかっていなくても上手に相手に話を合わせて、まるで憶えているかのような態度をとることがあります。特に、アルツハイマー病の人は、その場がシーンとすることを嫌がる傾向があります。 熊本大学の研究チームが、認知症の原因となる4つの病態「アルツハイマー病」「脳血管障害を有するアルツハイマー病」「レビー小体型認知症」「軽度認知機能障害(MCI) 」の患者を対象に行った調査によると、アルツハイマー病では、レビー小体型認知症の4・24倍、MCIの3・48倍の「とりつくろい」反応がみられることが明らかにされました。 「とりつくろい」反応は、認知症になった自分を少しでもよく見せようという自尊心からくる行動です。そこには間違いを指摘されて恥ずかしい思いをしたくないという心情とともに、その場の空気を壊したくないという気遣いもうかがえます。 もし「とりつくろい」反応に気づいたときは、「そうじゃないでしょ」「本当は覚えてないくせに」などと追及するのではなく、認知症特有の症状なのだということを理解してあげることが大切です。 本人の話が事実と違っていたとしても、たいした間違いでなければ大目にみて、本人が傷つかないように会話や対応に配慮してあげましょう。 ⻆谷建耀知(かくたにけんいち) 株式会社わかさ生活 代表取締役社長 18歳の時、脳腫瘍の大手術を受け、命と引き換えに視野の半分を失う。自身の経験から、自分のように目で困っている人の役に立ちたいとの想いで、1998年に株式会社わかさ生活を創業。著書に『花鈴のマウンド』や『女子高生と魔法のノート』があり、現在は健康雑誌『若々』も発刊中。
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