身近な人が認知症になったときに気をつけること【長生きでも脳が老けない人の習慣】
昔の趣味が認知症の進行を遅らせる
認知機能の低下を遅らせる方法として推奨されているのが、過去に楽しんでいた趣味を再開させることです。趣味による認知症予防への効果はよく知られていて、さまざまな研究や調査からも明らかにされています。 日本老年学的評価研究(JAGES) が2010 年に実施した「高齢者の趣味と認知症発症」に関する6 年間の追跡調査によると、男女ともに趣味の種類の数が多くなるほど認知症発症リスクが低くなる、という結果が確認されています。 テニス、ゴルフ、水泳など、過去に楽しんでいたスポーツでもいいですし、絵画、書道、編み物、塗り絵、折り紙、囲碁・将棋など、何でもよいので本人が好きだった趣味を再開させてあげましょう。 認知症の親に昔の趣味を勧めてみたら、家族も驚くほどの集中力で取り組み、認知症の症状が緩和されたというケースは珍しい話ではありません。 カラオケや合唱、楽器の演奏、あるいは音楽を聴くことも、脳の刺激になります。 本人が昔好きだった思い出の曲をかけてみたり、一緒に歌ってみたりするのもいいでしょう。 趣味には、楽しみをつくり笑顔を生む効果もあります。 認知機能が衰える前の自分を思い出すことで自信を取り戻し、満足感や自己肯定感も高まります。 もちろん、本人が嫌がるようなことを無理にさせる必要はありません。 大切なのは、本人が興味を持ち楽しいと思えることを続けることです。 趣味を再開することが本人の喜びや生きがいになり、表情も明るくイキイキとして日常生活にも意欲的になれば、介護する家族にとって、これほどうれしいことはありません。
本人に認知症だと自覚させたほうがいい?
認知症の方の家族が、「うちのお母さん、最近時間がわからなくなっちゃって」とか、「お父さんがご飯食べたのを忘れて何度も食べたいって言うから困ってるんです」などと、本人が聞いている目の前で大きな声で話すことがあります。 もし、自分がそのお父さんやお母さんの立場だったらどう思うでしょうか。 仮に事実だとしても、他人に話をされているのを聞いたら嫌な気分になりますよね。 認知機能が衰えると、何か言われても反応するまでに時間がかかったり、言葉でうまく表現できなかったりするので、「言ってもわからない」「どうせ理解していない」と誤解されやすいのですが、ゆっくり時間をかければ物事を理解したり、相手の表情や態度から雰囲気を察したりすることもできます。 つまり、認知症だからといって「何もわからない人」ではないということです。 ですから相手の気持ちを尊重し、心に寄り添った対応を心がけましょう。