米大統領選後の暴力沙汰の可能性、ドルの基軸通貨の地位を脅かす
ニューヨーク連銀でキャリアをスタートさせウォール街での30年の経験を持つティエリー・ウィズマン氏は、来年1月の議会による認証まで結果が不透明な状態が続くというシナリオを懸念している。
マッコーリーのグローバル通貨・金利ストラテジストの同氏は「米国の制度に対する信頼をトレーダーが失えば、米国例外主義という物語は終わりを迎えるかもしれない」と述べた。「選挙後、明確な結果が出ないまま数週間が過ぎ、紛争の裁定を委ねられる制度を人々が信頼できない場合」にそのようなことが起こると指摘した。
競合国がドルの使用を減らそうとする動きの中で、ドルが今後も優位性を維持できるのかという懸念もある。
米国の同盟国の中にも、民主・共和両党が保護主義を受け入れ、サプライチェーンを国内に戻そうとしている米国にどう対処すべきか、疑問を抱いている国もある。トランプ氏が大統領が再選された場合の予測不可能性は、そうした懸念をさらに高める。
CFA協会が先週発表したリポートによると、調査対象となった世界中の投資専門家のほぼ3分の2が、今後5-15年の間にドルが準備通貨としての地位をある程度失うと予想している。
1月に上院議員を引退するまで上院銀行委員会のトップを務めていた共和党のパット・トゥーミー氏は今月のインタビューで懸念を強調した。
2021年1月6日のような事件が再び起こると、「世界の支配的な基軸通貨国であり続ける米国の能力が損なわれる可能性がある」と述べ、事件は「米国の評判にとって非常に大きな打撃となった」と指摘した。
今回の選挙後に再び混乱が起こるのではないかという懸念がある理由の一つは、前回起こったことをトランプ氏が認めようとしないことだ。
トランプ氏は10月15日シカゴ経済クラブでのブルームバーグ・ニュースのジョン・ミクルスウェイト編集主幹とのインタビューで「平和的な政権移行が行われた」と語り、「愛と平和だった」と述べた。