【ラグビー】日本代表初選出。中楠一期[リコーブラックラムズ東京/SO]の現在地。
リコーブラックラムズ東京のSO、中楠一期(なかくす・いちご)が初めて日本代表スコッドに名を連ねた。 同スコッドはニュージーランドとの国内テストマッチと欧州遠征を控えている。 メンバー発表日の10月10日から遡ること5日前、中楠は花園近鉄ライナーズとのプレシーズンマッチに臨んでいた。 後半開始と同時に登場し、雨足が強まる中でも正確なキックを披露。エリアを前に進め、後半は無失点に抑えてスコアも伸ばした(52-21で勝利)。 「チームに影響し続ける、必要なことをさせ続けることができたと思います。それは後半のスコア(26-0)にも表れている。今日は雨のコンディションで難しかったですけど、アタックやコミュニケーションはまだまだ良くなると思っています」 本人にとってもサプライズ選出だったのだろう。 試合後、日本代表への思いについて問われ、こう答えていたのだ。 「選手であるからには視野高く持っていたいし、(日本代表を)諦めてはいけない、目標にしないといけないと思っています」と話しつつ、「でも今はまったく距離感が掴めていません」と明かした。 「とにかく目の前のこと、ブラックラムズで試合に出ることもそうですし、それ以前にまずは自分自身ののスキルや知識、コミュニケーションをもっと向上させたい。そういう小さなことを積み重ねてより良い選手になった時にチョイスされると思う。目の前のことに必死にやります」 エディー・ジョーンズHCは中楠の抜擢について、「われわれは若い10番を探していた」と説明。これまでSOで起用してきた李承信、山沢拓也はコンディション不良で招集できず、松田力也も選外となったことが背景にある。 「リコーの試合で良いものを持っていると気づいたのがきっかけだが、コーチ陣でもう一度若い10番を探したところ、中楠がわれわれのスタイルに合ったプレーヤーだと判断しました」と話し、こう評価した。 「仕掛けるプレーができ、勇気を持ったアタックができる。ボールを持っていないところでのワークレートも高い。ボールにどんどん絡んでいく姿勢があり、エネルギッシュなプレーを見せてくれる」 3歳でこの競技と出会い、田園ラグビースクール、國學院久我山、慶大を経て、2021年にアーリーエントリーでブラックラムズに入った。 久我山時代には高校日本代表に選出され、慶大では1年時から正SOを担った実力者だ。 武器の一つである正確なキックは、幼少期からの積み重ねで培われたものという。 「とにかく練習です。小さい時から父が熱心で、よく一緒に練習していました。他の人よりは多く蹴ってきたのかなとは思います」 父の実さんは盛岡三高時代に高校日本代表候補に選ばれた経歴を持つ。直々にスキルを伝授していた。