【ラグビー】日本代表初選出。中楠一期[リコーブラックラムズ東京/SO]の現在地。
「スキルがしっかりした選手になってもらいたいと思っていたのだと思います。田園と同じ神奈川の横浜ラグビースクールや藤沢ラグビースクールなど、良い選手を近くで見れる環境だったので、父からは齋藤直人さん(横浜RS出身)や栗原由太さん(藤沢RS)を見てお手本にしろと言われていました」 実質1年目となった昨季は、第4節でリーグワンデビュー。9節以降は10番をガッチリ掴み、入替戦まで走り切った。 それでも、振り返ったのは11試合に先発できたことより、出られなかった日々のことだった。 「(当時は)若かったなと思うのですが、絶対に活躍できるという自信があって。それなのに選んでもらえず…。ただ、チョイスするのはコーチなので、とにかく自分にベクトルを向けて頑張りました」 強みを磨いた。 「ミルキー(アイザック・ルーカス)をはじめ、すごく破壊力のある選手はチームにたくさんいるのですが、それをまとめる選手がいない印象でした。そうした役割をできるように、コーチとミーティングを重ねました。どういう状況で攻めるのか、エリアを取るのか。アタックに前のめりなチームなので、そのバランスはしっかり考えました」 冒頭で触れた「目の前のことに必死に」の思いがあるのは、今季のポジション争いが決して安泰ではないからだ。 マッド・マッガーンこそ退団したが、2度のベストフィフティーンに輝くアイザック・ルーカス、2季前のレギュラーで昨季はケガで離脱していた堀米航平は健在。エディーHCのキャンプに参加したこともある新鋭、伊藤耕太郎も加入した。 「それぞれ特徴が全然違うんです。それぞれの良さがあるので、盗めるところは盗みたい。10番同士で話すことも多いので、良い影響を与え合えていると感じます」 11月の代表活動が終われば、SHのTJ・ペレナラもチームに加わる。現役オールブラックスとハーフ団を組めるチャンスが目の前にある。 「一緒に試合に出たいですし、小さい頃からテレビで見ていた選手なので合流がすごく楽しみです。現役で世界のトップ選手がどういう生活をしてるのかを見れますし、一緒に生活して学びたいと思っています」 そのペレナラの来日も予想される、オールブラックスとのテストマッチは10月26日、日産スタジアムでおこなわれる。 サプライズ選出から一気に初キャップ獲得なるか、注目が集まる。 (文:明石尚之)