衝撃の『全領域異常解決室』!信じていた世界がひっくり返る驚きと爽快感
藤原竜也の絶妙な浮世離れ感、広瀬アリスのまっすぐな演技に魅せられる
不可思議な事件に挑む一風変わった組織を描いたミステリー……のはずが、ドンデン返しの連続! 思いがけない展開が次々巻き起こる『全領域異常解決室』(10/9スタート、フジテレビ 毎週水曜よる10時~)8話までをドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。 *レビューはネタバレを含みます。
見えていた景色が5話でがらりと変わる驚き
藤原竜也がフジテレビ制作の連続ドラマ初主演! という触れ込みで放送前から話題になっていた『全領域異常解決室』。物語は、雨野小夢(広瀬アリス)が「全領域異常解決室」(以下、「全決」)という捜査機関に配属されるところから始まる。スタッフは『謎解きはディナーのあとで』(2011年)など、ミステリードラマを多く手掛ける脚本・黒岩勉×演出・石川淳一の組み合わせ。神社の景色やクラシカルな事務所、そしてその中で過ごす、絶対に裏がありそうな興玉雅(藤原竜也)らの様子……。それらが畳み掛けてくる1話冒頭から、ただならぬ空気と、どう転ぶかわからない期待を感じていた。 4話までは、「主人公の小夢がクセのある面々とともに不可思議な事件の解明に挑むミステリー」といったところだろうか。興玉や小夢が神隠しや狐憑きなどにも見える、常識では理解できない「不可解な異常事件」の謎を探るなかで、その裏に潜む人間のエゴや業が見えてくるというドラマだった。不可解に見える事件の原因は結局人間にある。不思議に思えた謎が、覚えのある感情や行動からくる現実的な出来事であったと解き明かされる気持ちよさに毎回見応えを感じていた。もちろん、すべてが明らかになったわけではなく、たとえば小夢の目には人の顔が歪んで見えたりといった、すっきりと解決しない謎は横たわっていたものの、まさかこんな展開になるとは、思ってもみなかった。 5話で、風向きは大きく変わる。ある少女を救おうとして、不可思議な能力を目の当たりにした小夢。そんな小夢に興玉は少女が神であると語り、また「神が能力を使い起こした不可思議な事件」を「人間たちに気づかれないように丸く収めるのが全領域異常解決室の本来の仕事でした」と明かす。毎回事件に際して犯行声明を出していた「ヒルコ」(蛭子)という存在は、人間などではなく「謎の神」であり、そして興玉たちもそれぞれ神であることが判明する。