監督同士が大喧嘩!? 秋ドラマ最注目『宙わたる教室』実験シーンの裏にあった、想像を超える苦労
試練を乗り越え一つになったチーム
吉川氏は「反省」も込めて次のように語る。 「実際、中央から噴き上げようと思うと、味噌で濁っているから見えないんですよね。その濁りをなんとかとれないかなと思い、僕自身も要求するばかりじゃなく、自分でもこっそりやってみたんです。大豆の水煮を細かく砕いて、それを水に溶かして煮立てれば、もう少し透明な味噌汁に見立てられるんじゃないか? とか色々試したけど、結局どれもうまくいかなかった。 そこで『山下さん、相当苦労しているんだな』と、実際に手を動かしたことでわかりました」 「それこそ藤竹先生がよく言う『自動的にはわからない』『実際に手を動かさないとわからない』ですよね」と橋立氏もすかさずフォロー(?)。その上で、こんな「発見」を語る。 「実験の様子をずっと横で見ていて、今回の作品のテーマ的だなと思ったのは、助監督がやっても、見習いの人がやっても、監督がやっても、実験は嘘をつかないということ。うまくいかない味噌汁をみんなで四方から眺めながら、どうやったらうまくいくんだろうねとずっと話しているのも、それで喧嘩しちゃうのも科学部だなと。 そうやって自分たちで1つ1つ手を動かし、みんなでやっていく中で、全然うまくいかなかった実験がようやくうまくいったときの喜びは人一倍だと、今は思えます。一時は『このドラマ、終わったな……』とも思いましたが(笑)」(橋立氏) 実際に実験を通して試行錯誤を繰り返し、数々の「試練」を乗り越え、一つになっていった『宙わたる教室』チーム。ここにもまた本気のドラマが生まれていたのだ。 ドラマ10「宙わたる教室」 NHK総合 毎週火曜 夜10:00~10:45 (再)NHK総合 毎週金曜 夜0:35~1:20(木曜深夜) Prime VideoでもNHK放送の翌週水曜0:00に最新話を配信
田幸 和歌子(フリーランスライター)