明日ラグビーW杯サモア戦。日本は本当に有利なのか?
その勝利への鍵は「ディフェンス」と、プロップの稲垣啓太は言う。相手にはフルバックのティム・ナナイ・ウィリアムズら個人技に長けたファンタジスタがいて、問答無用の突進力を誇る大型フォワードが揃う。それに対して日本代表は、鍛え上げてきたフィジカリティと「コネクト(つながり)」で対抗したい。 2016年から“兄弟チーム”のサンウルブズが国際リーグのスーパーラグビーに入り、海外勢への耐性をつけた。さらに今年は宮崎、網走で長期合宿を張って1日複数回のセッションを実施。心身を追い込みながら、防御網のつながりを強めてきた。 アイルランド代表戦で全出場選手中最多となる24本のタックルを放ったロックのジェームズ・ムーアは「いつもより良くなろう、より良いスキルを持とうと考えてきました。それが私の強みになってきている。強いコリジョン(衝突)にフォーカスする」と静かに語り、主将のリーチも「相手は何もないところから(強引に)きっかけを作ってくる。ディフェンスがキーです」と、守り勝つことを約束した。 スコット・ハンセンディフェンスコーチはこう注意点を語る。 「防御ラインのコネクトを保って、ラインスピードを上げる。こだわっているのは、周り(相手がどこにどう立っているかなど)を把握すること。見ることです」 巨漢をなぎ倒すタックル、ファンタジスタの走路を埋める組織力が重要になる。 さらに、「目標を達成するには、サモア代表戦以降のことも考えなくては」と、ジョセフヘッドは、最後のスコットランド戦を見据えてメンバー構成に配慮した。 サモア代表戦は、ムーアとロックのコンビを組んだタックラーのトンプソン・ルークがコンディション不良で欠場、その代役にヴィンピー・ファンデルヴァルトを起用、さらに堀江翔太に代わって先発フッカーに坂手淳史を抜擢した。彼らの献身も鍵だ。 逆に適切なフィールドポジションでの堅守が叶えば、相手のミスや反則などから新たなトライチャンスを引き出せる。松島は、チーム全体の意思を代弁するかのように「スコットランド代表に完封されたといってもサモア代表は強い。勘違いしないでやっていきたい」と強調した。スコットランド代表が攻略していた両コーナーのスペースへのキック、日本代表がお家芸としつつあるスクラムでの優位性が攻撃のポイントだろう。 (文責・向風見也/ラグビーライター)