チューブ入り棒状氷菓が凍らない←オモシロ現象のワケ 解決にちょっとした裏技!おうちでの科学実験に
9月半ばを迎えてもなお、残暑厳しい日が続く今日このごろ。そんな暑い日についつい手が伸びるのが、アイス・氷菓。今回は、冷凍スイーツにまつわるお話です。消費者からの問い合わせをもとに、「コープこうべ商品検査センター」の担当者に話を聞きました。 【写真】なんで!? 1本だけ凍らなかった“チューブ入り棒状氷菓”を凍らせる裏技 【担当者】 まず紹介するのは、真ん中でパキッと割れるチューブ入り棒状氷菓(ポリエチレン製の容器に清涼飲料水が入っていて、冷凍庫で凍らせて食べるもの)にまつわる事例です。あるとき、消費者から「氷菓を冷凍庫に入れておいて、取り出してみたら凍っているものと凍っていないものがある」という相談がありました。 ――食品を冷凍庫に入れておくとほとんどのものが凍りますが、同じ商品なのに、凍っているものと凍っていないものがあるというのが不思議ですね。凍っていない商品に不具合があったのでしょうか。 【担当者】 これは商品の不具合ではなく、「過冷却」という現象が原因です。 ――「過冷却」とは、どのような現象なのですか。 【担当者】 振動などのない安定した状態でゆっくりと温度を下げていった際、凍りはじめる温度(水の場合だと0度)になっても液体の状態を維持する現象です。 ――凍る温度なのに、液体の状態のままなのですね。過冷却になっているものは、凍らせることができるのですか。 【担当者】 冷凍庫の中で過冷却現象を起こしているときは、液体のままか、あるいは凍るか不安定な状態です。そのため、過冷却の状態になって凍っていないものがあった際には、テーブルなどで軽くコンコンとたたいて刺激を加えてから再び冷凍庫に入れておけば、きちんと凍ります。 凍るためには、氷のタネとなるほんのわずかな氷の結晶(氷核)が必要なのですが、このわずかな氷の結晶ができるには、きっかけとなるわずかなエネルギーが必要です。軽くたたくことでそのエネルギーが得られて氷のタネができたとたん、その周りの液体も凍るというわけです。 ――「過冷却」現象は、おうちでの科学実験にしてもおもしろいかもしれませんね。 【担当者】 次に紹介するのは、「生協の宅配で買った冷凍のケーキを食べたらピリピリした」という問い合わせです。 ――どのようなことが原因だったのでしょうか? 【担当者】 ケーキを食べてピリピリと感じたのは、配達時、冷凍商品の温度を維持するために発泡スチロール容器に入れているドライアイスが原因だとわかりました。 ――ドライアイスは、炭酸ガスを固形化させたものですよね。 【担当者】 はい。炭酸ガスを固形化したドライアイスは、周囲から熱を奪いながら炭酸ガスに戻っていきます。商品をお届けする箱にドライアイスを入れるのですが、炭酸ガスが冷凍ケーキに吸収されることがあり、ピリピリとした刺激を感じることがあるんです。 ――炭酸ガスによってピリピリと感じたということは、炭酸飲料を飲んで感じるピリピリと同じ理由なのですね。今回は冷凍のケーキでピリピリを感じたということでしたが、ほかの冷凍品でも起こるのでしょうか。 【担当者】 炭酸ガスの影響を受けやすいものと受けにくいものがあるんです。炭酸ガスの影響を受けやすいものとしては、クリーム部分に空気を多く含んでいる冷凍のケーキやアイスクリームがあり、一方、アイスキャンディーなどの氷菓は影響を受けにくいのです。 ――では、冷凍ケーキやアイスに吸収された炭酸ガスは、炭酸飲料と同じように置いておいたら自然と抜けていくのでしょうか。 【担当者】 はい。吸収された炭酸ガスは、基本的には少し置いておけば自然と抜けていきますので、安心してお召し上がりください。 ※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』より
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