2026年次世代ルール、真の懸念はF1が求める”にわかファン”離れの危険性。「〇〇モード」やらテクニカル用語多すぎ??
『マックス・フェルスタッペン、最終ラップでMOM(マニュアル・オーバーライド・モード)を起動し、0.5MJの追加エネルギーを使って2026年F1バーレーンGPを勝利!』 【ギャラリー】2026年の新規則F1マシンが明らかに! 現行規則との相違点を様々なアングルからチェック! 2026年以降に向けて示された新しいレギュレーションから判断すると、F1ファンが直面する可能性があるのは、こんな恐ろしい見出しかもしれない。 F1は先日2026年から導入予定の新テクニカルレギュレーションの草案を発表。より身近でエキサイティングなレースをファンに提供することを目的とし、マシンは小型軽量化され、より電動パワーを生かしたモノへと変化する見込みだ。 FIAのシングルシーター・テクニカルディレクターを務めるニコラス・トンバジスが「穏やかな革命」と呼称する新規則だが、ここには彼の言う矛盾に満ちた言葉と同じく混乱が懸念されている。 チーム側は新規則の技術的な側面に懸念を寄せているが、このまま新規則が承認された場合、目的とは裏腹にその複雑な用語などからファンをただ遠ざけることになる可能性があるという懸念も高まっている。 F1の用語というのは常々議論の的となってきたが、大部分は受け入れられてきた。近年で言えばDRS(ドラッグ低減システム)、ERS(エネルギー回生システム)、CE(コントロールエレクトロニクス)、SOC(ステイト・オブ・チャージ/充電状態)、DAS(二軸ステアリング)、MGU-K/Hなどの略語に代表されるコンポーネントなどがそうだろう。 しかし、現実的には幅広い観衆にアピールするためであれば、提案された専門用語への対処が必要だろう。 次世代マシンで投入されるアクティブエアロ自体は、直感的なものだ。しかし高ダウンフォース向けの「Zモード」と、低ダウンフォースの「Xモード」といった呼び方や、新しいパワーユニットのバッテリー技術や持続可能燃料に関するプランの見直しなどが相まって、ファンに混乱を招き、F1が懸命に獲得しようとしてきた新規ファンを遠ざけてしまう危険性がある。 それはF1チームの代表たちも認識していることだ。アストンマーティンのマイク・クラック代表は、次のように懸念を口にした。 「たくさんのエンジニアリング用語がある。ZモードにXモード、エネルギーマネジメント等々。複雑さという点で、我々は製品やファン、観客に焦点を当てるべきだと思う」 「2026年が少し怖いね。記者会見やドライバーインタビューで、多くの人が理解できずに興味を失うような技術的な話ばかりになってしまわないかと思うからだ」 「それは本当に我々が注意すべきことだと思う。コース毎にエネルギーマネジメントが違ったり、マシンに制限があって、あるクルマは前に出て、もう1台が後退する。それをどう説明するんだ?」 「それこそが、我々が考え続けなければいけないことだ」 ハースF1の小松礼雄代表も、こうした意見に同意。時間の経過で理解が進むだろうとしつつ、さらに使われている言葉が適切ではないという見解も示した。 「複雑さの一部は、内容よりも言葉にあります。というのも、我々がXモードについて話していても、それはDRSオープンに似たものになります。そして、DRSオープンのコンセプトはとても強く確立されたものなんです」 「残っている複雑性のうち、一部は特にパワーユニットの面にあります。そこはレギュレーションが成熟していないからです」 「ひとたび成熟すれば、さらにシンプルになっていくだろうと思っています。もしくは、少なくとも開発との協力を通じて、両方が達成されることを期待できればいいですね」