介護歴20年の安藤なつ「友達と遊びに行く感覚で介護施設に通っていた」小中学生時代に抱いた達成感
安藤さん:その当時は、おばあちゃんの症状が認知症という病気だという認識がなかったんです。ただ忘れっぽかったり、着替えがしづらいから、そのお手伝いをしている感覚でした。おばあちゃんに着替えを促すために、いろいろなキャラに扮したのは今の芸に生かされているのかわからないけれど(笑)。でも、相手を喜ばせるためにはどういうふうに行動すればいいかを常に考えるという面は、お笑いと共通しているかもしれません。 ── おばあさんとの交流で、初めて介護のやりがいを感じたということでしょうか。
安藤さん:言葉としては適切ではないかもしれないのですが、中学生の頃は「できなかったことができるようになった」っていう達成感がなんともいえなくて。ゲームをクリアしたときのような、不思議な感覚だったんです。とくに認知症のおばあちゃんが自分のことを受け入れてくれたっていう嬉しさが大きかった。めっちゃ優しいおばあちゃんで、「寒いでしょう」って言って、私の手に脱ぎたての靴下を履かしてくれたりもしたんですよ(笑)。
PROFILE 安藤なつさん 東京都出身。2012年にカズレーザーとメイプル超合金を結成。2015年『M-1グランプリ』では決勝進出し、ファイナリスト9組に残った。介護職の経験は、ボランティアも含めると約20年。ホームヘルパー2級、介護福祉士の国家資格も取得。厚生労働省の補助事業『Go!Go!KAI-GOプロジェクト』では副団長を務めている。 取材・文/池守りぜね 撮影/山田智絵 イラスト/まめこ
池守 りぜね