介護歴20年の安藤なつ「友達と遊びに行く感覚で介護施設に通っていた」小中学生時代に抱いた達成感
── 介護施設の手伝いは、安藤さんのご両親から勧められたのですか? 安藤さん:親から「手伝いに行って」と言われたことはなかったです。伯父の施設も自宅からは遠くて、2本電車を乗り継いでトータル2時間くらいかかっていました。でも自分から「行きたい」と言っていたので、つらくはなかったです。小学生のときはそれほど回数は行っていなかったのですが、中学生になってからは週末に泊りがけで手伝いに行くようになりました。
■中学は柔道と介護ボランティアの日々「遊びの延長だった」 ── 中学に入学されてからは、柔道部とボランティア部を掛け持ちされていたそうですね。忙しくはなかったですか? 安藤さん:中学のボランティア部は名ばかりで、部員がほぼ私だけだったので、個人活動に近かったです。伯父の施設に行っていたのも、部活の延長みたいな感覚でした。柔道部のほうは、子どもの頃に空手を習っていたのもあり、“武道ってカッコいいな”と思って入部しました。でも柔道部も女子部員が一人しかいなくて、帯が取れなかったんです(笑)。柔道の型の試験は、同じ部の女子部員同士で組んでやらなければならなかったので。
── とはいえ、部活も頑張りながらボランティアも続けていたのですよね。しかも介護は「仕事というより遊びの延長」だったとのこと。学校の友達と遊ぶよりも、介護施設で過ごすのが楽しいと感じていたのでしょうか? 安藤さん:私にとっては、介護施設に行くことが、友達と遊びに行くっていう感覚に近かったんです。だから“手伝いをして偉いでしょ”みたいなおごりもなかったです。介護施設に行って手伝ってはいたけれど、“人のために何かをやろう”っていう気持ちではやっていなかったと思います。
── 介護施設の利用者には年配の方が多いと思いますが、見知らぬ年配の方と接するのに抵抗はありませんでしたか? 安藤さん:父方の祖母と同居をしていたので、お年寄りと接することに抵抗はなかったのです。小さい頃は知り合いではない近所のおじいちゃんと公園で遊んだりもしていたので、相手が年配でも気にならなかったですね。 ── 中学時代、認知症のおばあさんになかなか認められず苦労した経験があるとか。工夫を重ねて信頼関係を構築されたそうですね。ご自身では、当時の経験はどのようにとらえていますか?