体重300kg以上…1日1万キロカロリーを摂取し続けた“イギリス最重量の男性”が死亡 彼を死に追いやったものとは?
クレーン車を使っての搬送劇も
2020年、ジェイソンさんを一躍有名にする「事件」が起こった。リンパ浮腫で倒れたジェイソンさんだったが、救急隊員は母の家があるフラット(マンション)の4階から重い彼を運び出すことができなかったのだ。そこで急遽、4階の窓からベッドごとジェイソンさんを運び出す方法がとられた。30人以上の消防隊員と技術者らが集結し、クレーン車を使い7時間かけての大作業となった。 事件でたくさんの野次馬や報道陣が住居周りに集まり、写真や動画が拡散された。その日以来、ジェイソンさんは全国区の有名人となってしまった。この時期のことをジェイソンさんは昨年の取材で「私の人生でもっとも悲惨な時期だった」と語っている。 無事病院に搬送されたものの、彼を検査できる大きさのレントゲン機器が病院になかった。ジェイソンさんはロンドン動物園に運ばれ、動物用のレントゲン機器を使用して検査を行ったというエピソードも残っている。 2014年頃から動くことが困難になり、呼吸困難にも悩まされた。福祉手当をもらい、強度の高い家具やトイレを備えた公団住宅のバンガロー(1階建ての家)で暮らしていた。日々の生活について、昨年の取材で下記のように話していた。 「私は決して外に出ません。庭にも出ません。1日に歩くのは25歩ほどだけです」 2022年には脳卒中を起こし血栓の疑いも浮上したジェイソンさんは、何とか体重を減らしたいと考えた。「胃バンド手術」をするには彼の体重は重すぎたため、肥満症治療薬「ウィーゴビー」の処方を希望。イギリス医療NHS(国民健康サービス)のウェイティングリストに載っていた。しかし処方される前に亡くなってしまった。
悲しみの中、「もう1つの問題」
息子の死去に打ちひしがれた母リーサさんだが、悲しみの中、新たな問題が浮上した。ジェイソンさんを荼毘に付し、埋葬するための手はずが整わなかったのだ。 これはジェイソンさんの「重量」以上に、遺体があまりにも大きいことによるものだ。通常の棺に入らず、また高額な料金がかかることも懸念点だった。 死後約1週間後の取材時点で、リーサさんはまだこの解決策を探せていなかった。しかしその後の報道によると、引き受けてくれる葬儀社を探せたようだ。 ジェイソンさんの冥福を祈りたい。
文:宮田華子