西武投手陣の自己主張を「リスペクトします」 契約更改の“新交渉役”が歓迎するワケ
2年前には平良が先発転向、高橋がメジャー移籍、今井が背番号変更を直訴
西武の投手陣は個性的で自己主張の強いタイプが多く、契約更改交渉が意外な展開となることもある。渡辺GMが担当した2022年のオフには、それまでリリーフ専任だった平良が先発転向を直訴し、今年同様1回目の交渉で契約を保留。高橋は将来的なメジャー移籍の意志を初めて伝えた。さらに今井達也投手が背番号「11」を、同年限りで現役引退した武隈祥太氏が付けていた「48」へ変更することを申し出て、球団側を困惑させた。 ただ、この3人がいずれも翌2023年、“有言実行”で結果を出しところは見事。平良は11勝7敗で先発の適性を実証し、高橋は10勝8敗で3年連続2桁勝利を達成。今井は10勝5敗で、自身初の2桁に到達したのだった。 今オフ“交渉役デビュー”の広池氏は、さぞかし頭を痛めているだろうと思いきや、「プロですから、交渉の席で自分の言葉でちゃんと話をするということは、素晴らしいことだと思います。そこはリスペクトします」と“歓迎”する。 広池氏自身、現役時代には広島に12年間在籍し、中継ぎを中心に通算248試合に登板した左投手だった。「昔の契約更改交渉は、『いいから判を押せ』みたいな雰囲気で、私自身も経験しましたが、そういうのってどうなのかなと思っていました。1人の個人事業主として、選手がちゃんと交渉できるのは素晴らしいことだと思います」と真摯に向き合う構えだ。 今季球団ワースト記録の91敗を喫した西武の巻き返しには、12球団ワーストのチーム打率.212、350得点に終わった打線の強化を避けて通れない。今度は強力投手陣を援護する野手陣の補強に腕を振るう。
宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki