「これが自分の人生を振り返る最期の機会です」視える葬儀屋さんが亡くなった少年と母親の心の架け橋に!感動のラストに心が震える話題作【作者に聞く】
元ゲーム会社所属デザイナーで、現在はストーリー漫画をメインに執筆している吉良いと(@kilightit)さん。個人で作品を公開・販売するほか、商業誌にも作品を掲載するなど、精力的に活動している漫画家だ。代表作「ようこそ亡霊葬儀屋さん」は、「このお話ほんとに好きです」「1度見た事あるはずなのに泣いてしまった」など、多くの読者に感動をもたらしている。 【漫画】ラストが衝撃すぎた感動の話題作 今回は、「幽霊が視(み)える葬儀屋さん」シリーズから、「夢破れた少年」をお届けする。自分の葬儀に現れた霊。その霊の正体は、夢に向かってがむしゃらに頑張ったことで無理がたたって死んでしまった少年の霊だった。 「なんで頑張ってきた結果がこれなんだろ」という後悔の念で立ちすくむ少年の霊に、幽霊が視える葬儀屋・烏丸枢(からすま・くるる)が優しく話しかける。烏丸から“夢を追っていた理由を忘れているのでは?”と問いかけられて、自らの人生を悲観しかしていなかった少年の霊に変化が現れる。烏丸と会話するなかで少年が思い出した、“忘れてしまっていたこと”とは一体…? 子どもの死に呆然とする母の姿を見ているうちに、幼少期の記憶とともに“夢を追っていた理由”を思い出す少年。夢を追いかけていた大切な原点を思い出す少年の目からは、後悔の涙ではなく、優しさを含んだ大量の涙があふれ出す。 烏丸が少年に語りかけた「これが自分の人生を振り返る最期の機会です」という言葉。死んでしまった後悔やこの世に遺した後悔の念はぬぐえないものの、最期に自分の人生を振り返ったとき、心に感じるものは何だろうか…。人間誰しもいつかは死んでしまうものだが、自分の人生を振り返ったときに、どれだけ温かい涙が流せるのだろうか…。大量にあふれ出す少年の涙と親子の愛に、涙なしでは読めない心温まる物語だ。 作者の吉良いとさんに、この作品に対する思いを聞いてみた。 「このお話は『葬儀屋さんシリーズ』のなかでも初期の作品ですが、私の中でとても印象深いお話として心に残っています。『なんのために頑張って、なんのために漫画を描くのか』作中での葬儀屋さんの言葉は自分への問いかけでもありました。大切なもの(こと)ほど思ったより近くにある。このお話を読んだ方にも、何かを考えるきっかけになればうれしいです」 幽霊が視える葬儀屋を中心に、さまざまな人間ドラマが描かれる「ようこそ亡霊葬儀屋さん」。2019年1月にTwitter(現X)へ投稿すると「Twitterの漫画で泣いたのは初めて」など多くの感想が寄せられ、そのあと少年ジャンプ+で連載がスタート。現在は「幽霊が視(み)える葬儀屋さん」として、個人で連載を続けている。 画像提供:吉良いと(@kilightit)