弾劾審判・内乱罪捜査のスピード戦…孤立する尹大統領「遅延」戦略の限界に直面
【01月06日 KOREA WAVE】韓国のユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領は強硬な支持層を狙った場外世論戦を展開し、弾劾審判や内乱罪捜査の手続きを最大限遅延させる戦略を模索している。しかし、憲法裁判所や捜査機関の「スピード戦」により、政治的な立ち回りの幅が狭まり、戦略が限界に達しているとの分析が浮上している。 憲法裁判所は14日の第1回弁論期日を手始めに第5回までの日程を事前に指定し、迅速な弾劾審判手続きに着手した。法曹界では、遅くとも4月中にユン大統領の罷免可否が決定されるとの見方が支配的だ。 また、公捜処や警察、検察も強制捜査に踏み切った。公捜処はユン大統領が3度の出頭要請に応じなかったことを受け、逮捕状執行を試みた。 警察庁国家捜査本部は逮捕状執行を阻止した大統領警護処の処長と次長を特殊公務執行妨害の疑いで立件し、4日までの出頭を要求している。 捜査機関の矛先がユン大統領に向かう中、大統領は次第に孤立する様相を見せている。 特に、逮捕状執行の過程で軍警護部隊がソウル市漢南洞の大統領官邸正門を逮捕チームに開放したことが知られている。 また、パク・ジョンジュン大統領警護処長の要請を受け、チェ・サンモク(崔相穆)大統領権限代行が警察幹部に警護部隊の官邸投入を指示したが、警察がこれを拒否したと伝えられている。 警護処の妨害により逮捕状執行はいったん、不発に終わったが、大統領が公権力に対する指揮・統制権を事実上喪失したのではないかとの評価が出ている。 ユン大統領は捜査機関の出頭要求や押収捜索・逮捕状執行をすべて拒否し、法廷に異議申し立てや権限争議審判、効力停止仮処分申請で対抗している。このように手続き上の問題を持ち出し続けることは、内乱罪捜査と弾劾審判手続きを最大限遅らせるための戦略と解釈されている。 今後も捜査や裁判の過程で「違法な捜査」を主張して時間を稼ぎ、「戒厳令は統治行為」との立場を崩さないと見られている。 ◇「国政混乱を助長する」 「国家を救うために戒厳令を宣言した」と主張するユン大統領に対し、決定に対する責任を堂々と負うべきだとの指摘がある。与党内からも「弾劾であれ捜査であれ正々堂々と向き合うべきだ」「法的・政治的責任を回避しない」との過去の国民向け談話を持ち出し、司法リスクを正面突破すべきとの声が出ている。 国民の力所属のアン・チョルス(安哲秀)議員は2日のKBSラジオで「国家元首として堂々と臨んでほしい。大統領が毅然と裁判所の決定を受け入れ、法理で戦うのが最も望ましい態度」と語った。 ただ、ユン大統領の態度が変わることを期待するのは難しいとの見方が大勢を占めている。 ユン大統領の姿勢は逮捕状執行に関連する大統領室や警護処の反応からも読み取れる。 大統領室は一部の放送局が官邸周辺を撮影・放送したことを問題視し、「国家安保体制を脅かし社会秩序を混乱させる違法行為」と規定して告発措置を取り、「被告発人の行為に強く遺憾を表明する」とした。 大統領警護処も「公捜処と国家捜査本部が法的根拠もなく警察機動隊を動員し、警護区域や軍事機密施設に無断侵入したことに強い遺憾を感じる」とし、「法的措置を通じて必ず責任を追及する」と強硬姿勢を示した。 専門家は、ユン大統領の場外世論戦が支持層を結束させる効果はあるかもしれないが、中道層の説得には失敗し、結果的に国政混乱を助長するとの見解を示している。 仁川大学政治外交学科のイ・ジュンハン教授は「弾劾賛成の世論が70%を超える状況で、極端な支持層を盾に国民を煽動する姿は、指導者としての品格を見つけるのが難しい」と指摘したうえ「戦場に出た将軍のように先頭に立って問題を解決すべき状況で、警察や軍人を盾にして後ろに隠れる姿は、国家の品格を深刻に損なう行為」と批判した。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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