手取り「19万円」の保育士です。1人で30人の子どもを見て、夜は持ち帰りの仕事でもう限界です。どうにかならないのでしょうか…?
保育園は、家庭に代わって小さな子どもを預かり保育する施設です。そこで働く保育士の労働環境は、「安いのに激務」と話題になることがあります。国は保育士1人が対応可能な子どもの数をもとに保育士の「配置基準」を定めていますが、実際の現場では配置基準以上の保育士が必要だといわれることも少なくありません。 本記事では保育士の配置基準や平均の手取り、労働環境について解説します。
保育士の平均手取りは約19万円
保育士の給与について、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」では、社会保険料や住民税、所得税などを控除する前の「きまって支給する現金給与額」は約26万円、「年間賞与その他特別給与額」は約69万円とされています。 一般的に手取りは額面の75%~80%といわれているため75%として計算すると、1ヶ月当たりの手取りは19万5000円になります。月の手取りが20万円を超えないとなると、決して給与が高いとはいえないでしょう。
保育士の配置基準
保育士の配置基準とは「子どもの人数に対して何人の保育士の配置が必要か」という基準で、国の法律で定められるものです。子どもたちの年齢によって保育士の配置人数は異なります。 「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」によると、子どもの人数に対する保育士1人の配置基準は図表1のとおりです。 図表1
「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」をもとに筆者作成 年齢が上がるごとに「手がかからない」と判断されるのか、より多くの子どもを1人の保育士で対応しなければなりません。 しかし、例えば4~5歳児30人を1人で対応するのは実際とても大変なことです。そのため、多くの保育士では配置基準以上の保育士を雇用しています。 国の補助金はこの配置基準をもとに支払われるので、配置基準を超えた人件費は保育園側が負担することになります。保育園の経営に負担がかかり、保育士の給与が上がりにくいという実態があるのでしょう。