“優勝候補筆頭”のイングランドは58年ぶりのタイトルを獲得できるか。メンバー選考から読み解く指揮官の変化【EURO】
最も所属選手が多いチームはクリスタル・パレス
サウスゲイトのチャレンジの話をする前に、前提として知っておいて欲しいのは、現在52歳の指揮官は基本的にメンバーを固定する傾向が強かった点だ。 固定してきた理由は、米メディア『ジ・アスレチック』によると、「メンタリティ、一体感、チームスピリットを育むため」らしい。これについては2018年のロシア・ワールドカップ、国際大会では初となるPK戦での勝利を手にするなど、一定、心理面での成果を出しているので意図は理解できる。 同時にイングランドは強豪クラブが複数あるため、かつてスペイン代表がバルセロナの選手たちを中心にチームを作ったようなチームビルディングはしにくい。現在のイングランド代表で最も所属選手が多いチームはクリスタル・パレスで4人だ。26人が14チームに偏在している。これではクラブチームをベースにチームづくりをすることも難しい。 イギリスは言語こそ英語で統一されているものの、特にロンドンは様々なバックグラウンドを持つ人種のるつぼと化している。代表チームとしての一体感を作ることは、決して簡単ではない。 このような背景があるため、賛否両論はあるものの、指揮官は一貫した面白味の少ない選手選考を一貫して行ってきた。しかし今回の選手選考はこれまでとは全く違う基準で選考を行った。 『ジ・アスレチック』の記事では「ジョーダン・ヘンダーソン、マーカス・ラッシュフォード、ジャック・グリーリッシュ、ハリー・マグワイアを欠くことは、激変を意味する」と書かれていたが、まさにその通りだ。 現段階でそこの基準は明らかになっていないものの、直近のボスニア・ヘルツェゴビナ戦、アイスランド戦の内容を見る限り、コンディションの良い選手たちを選んでいる印象だ。特に3-0で勝利を収めた前者との一戦のスタメンは、コンディションが良い選手たちをスタメンに揃えており、この11人は全員、26人のスカッドに選ばれている。 またハリー・マグワイアが負傷でメンバーから外れたのは、結果的に、イングランドの戦い方の方向性を大きく変えることになる。これまではどうしてもマンチェスター・ユナイテッド所属のパワフルだが不器用なDFリーダーがいたことで、ポゼッションで押し込むサッカーに移行しにくかった。 しかし、彼がいないことで、守備面で経験豊富なDFがいなくなった不安は残るものの、メンバーのチョイスはより現代的になっている。 GKはそこまで足もとが得意ではないジョダーン・ピックフォードのため、極端にハイプレスのチームに対してはある程度ロングボールを放り込むだろうが、これまで以上に最終ラインから繋ぐサッカーが可能になった。そして今のメンバーならパスを回しながら試合を支配して、押し込んだ上で点をとるスカッドの力もある。
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