ロータリーエンジンを搭載するマツダMX-30 R-EVは、乗っても使ってみても超個性的なクルマだった。
個性的なMX-30に「ロータリーエンジン」を搭載
2020年にデビューした当初からとても個性的なモデルだったMX-30が、2023年11月にロータリーEVが発売されたことでそれをさらに際立たせた。なにより「マツダの魂」ともいえるロータリーエンジンが搭載されたことが最大のトピックだ。ところで燃費はどうなのか、電気だけでどれだけ走るのか、使い勝手は? 気になるところを確かめてみた(Motor Magazine 2024年6月号より)。 【写真はこちら】後席に腰を掛けて海辺でリモートワークをしてみたら、超快適だった(全8枚) マツダMX-30は個性的で実に面白いクルマだ。2020年10月にマイルドハイブリッドモデルを発売した当初からフリースタイルドア(観音開き)や装備を自由に選ぶことができる「Your Original Choice(ユア・オリジナル・チョイス)」を設定するなど、マツダらしい独創性が際立っていた。そして、その数カ月後にはマツダ初の量産BEVとなるEVモデルも追加している。 そもそもMXという車名もマツダの挑戦的なモデルにつけられる名称だと言うから、それは間違いない。日本を代表するオープンスポーツのロードスターも海外でMX-5として販売されているし、過去には日本国内でもMX-6という流麗なデザインの2ドアクーペ(2代目)も販売されていた。 そして、2023年に満を持して登場したこのロータリーEVこそ、マツダの魂とも言えるロータリーエンジンをRX-8以来約11年ぶりに搭載。ロータリーエンジンを搭載する市販車が復活した。ただし、今回は駆動用ではなく発電用として。ロータリーEVは100%モーター駆動で走らせるシリーズ方式のプラグインハイブリッド(PHEV)となる。 これでMX-30はマイルドハイブリッドとBEV、そしてロータリーエンジン搭載のPHEVという独特なラインナップが揃った。
ペルソナやユーノスコスモの再来!?ソファみたいなリアシート
そんな超個性派のMX‒30だが、このクルマの個人的に好きなところは後席である。フリースタイルドアの内側サイドトリムもシートの一部のようになっているので、囲われたソファのような作りなのだ。これは過去にもペルソナやユーノスコスモでも採用しているが、後席好きな私としては、当時からこの作りが憧れだった。 今回はどうしても編集部から離れたくて、クルマを海へと走らせた。1日だけだが、そんなMX-30の後席に腰を掛けて海辺でリモートワークをしてみたら、超快適だった。ちなみにリアベンチレーター下(150W)とラゲッジルーム(1500W)にAC電源を用意しているので、パソコンを充電しながら作業が行えた。 ロータリーEVということで、やはり「ロータリーエンジン搭載」というところが注目されるが、その乗り味は、静かで滑らかで・・・と、いわゆる電気自動車らしいものだ。ただし、全開加速などの高負荷時やバッテリー残量が45%以下(ノーマルモード時)になると「ゴー」とロータリーエンジンが始動する。 発電に徹しているので、モーターと連動して回転が上がるような仕掛けはなく、メーターにおにぎりマークが点灯するぐらいで、そこからかすかにロータリーエンジンを感じるのみ。もう少し、ロータリーエンジンらしさを出してほしいという気持ちもあるが、ロータリーEVは、これをきっかけに市販車にロータリーエンジンが搭載されたことが重要なのだ。 エンジンを搭載したことでBEVモデルより車両重量は130kg増えているが、エレクトリックGベクタリングコントロールプラスの助けとハンドルのパドルシフトを使って、減速しながらコーナーを曲がる時の気持ちの良い走りは変わらない。
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