木曜劇場『わたしの宝物』©フジテレビ

　娘が生まれてからの宏樹（田中圭）の“生き直し”のような改心が描かれた『わたしの宝物』（フジテレビ系）第3話。 【写真】子どもを抱き抱える美羽（松本若菜）を見つめる宏樹（田中圭） 　美羽（松本若菜）の退院に合わせて会社を早退して迎えに行ったり、入院中の美羽の母親（多岐川裕美）がお宮参りに参加できるように知らないうちにドクターに何度も掛け合ってくれたり。 　美羽も宏樹の子どもとして育てていこうという揺るぎない覚悟を形に残しけじめとして刻むかのように、宏樹に“一生に一度きり”の娘の命名を頼む。好きで仕方ない妻にもきつく当たってしまう自分は子どものことまで同じ目に遭わせてしまいそうだと自信のなかった宏樹だが、娘を抱きかかえた時の柔らかや儚さに「守ってあげなきゃ」という本能を刺激され、想いが溢れ出しあの号泣に繋がったようだ。 　美羽の母子手帳に挟まっていた実際には幼なじみ・冬月（深澤辰哉）との思い出の詰まったアイテムを見て、あれだけ検討を重ねた他候補案の中から「栞」という名前を選ぶのがまた何とも因果だ。 　栞という言葉には“道しるべ”という意味があり「道に迷わず進んでほしい」という想いを込めたという宏樹の言葉は、子を愛し心配する親心そのものだった。 　そして「この子が俺の道しるべになってくれたから」と言う通り、宏樹は父親になったことでどんどん角がとれ丸く優しくなっていく。あらかじめ「父親らしいこと何もできないから」と線引いていたところから、「俺を栞の父親にしてくれないか？」と申し出る。 　かつては子どものことを真剣に考えてほしいという美羽に「暇だから子供ほしいんだろ」と酷いことを言っていた宏樹と同一人物とは到底思えない。子どもが生まれ親になるということのインパクトの大きさに思わず想いを馳せた。さらに宏樹は会社で大抜擢された大きなプロジェクトリーダーを降ろしてもらえるように上司に直談判。「私にはやるべきことがあるんで」「どんなに汗水垂らしても手に入らないものってありますから」と彼の中で人生における優先順位が大幅に変わり強くなれたようだ。