漫画『サーキットの狼』の早瀬佐近の愛車「ナナサンカレラ」はいまや1億5000万円以上! ポルシェ「911 カレラRS 2.7 ライトウェイト」の魅力とは
大人気のナナサンカレラRSでも、やはりライトウェイトは格別?
国際クラシックカー市場において2010年代中盤から始まった、空冷ポルシェのマーケット価格の高騰。その象徴ともいうべき「ナナサンカレラRS」こと、ポルシェ「911 カレラ RS 2.7」のなかでもさらに希少な「ライトウェイト」仕様は、通常の「ツーリング」仕様を大幅に凌駕する価格で取り引きされるのが通例となっています。RMサザビーズ北米本社が2024年8月15日~17日に北米カリフォルニア州で開いた世界最大規模のクラシックカーオークション「Monterey 2024」では、国際マーケットでもあまり見る機会のないライトウェイト仕様の911 カレラ RS 2.7が出品され、そのオークション結果については全世界のポルシェ愛好家から注目を浴びることになりました。落札価格とクルマの詳細をお伝えします。 【画像】内外装はレストア済み! ポルシェ「911 カレラRS 2.7 ライトウェイト」を見る(全48枚)
レース・ホモロゲーションのために作られた名作とは
ポルシェ「911 カレラ RS 2.7」は、デビュー当初こそその運命が定かでなかったにもかかわらず、その正当性を自ら証明した。主目的たるモータースポーツはもちろん、商業面でも大成功を収めたこの画期的な911は、1973年にデビューして以来、知らず知らずのうちにポルシェのエンジニアリングと企業戦略の根幹を形成することになる。 ポルシェのロードゴーイングモデルとコンペティションモデルの親密な関係は、現在では同社の象徴ともなっているが、これは1970年代初頭に「FIA(国際自動車連盟)グループ4」コンペティション用に開発された名作911 カレラ RS 2.7によるところが大きい。 現在のRS 2.7の人気からは想像しがたいかもしれないが、当時ポルシェのマーケティング担当者は、プライベートレーサーを対象に80台以上を販売できるとは考えていなかったようだ。「重量削減のために必要とされる極めてスパルタンな装備を考慮すると、そしてこのクルマを実際に見て運転した経験から、通常の状況下でこのクルマを効果的に販売できるとは考えていない」と、マーケティング部門は当時のエンジニアリング・ディレクターであったエルンスト・フールマン博士への手紙で書いている。 ところが、1972年のパリ・サロンにて「カレラ」の名を冠した最初の911としてデビューしたRS2.7に対するポルシェ愛好家の反応は、まさしくセンセーショナルなものとなる。このモデルに対する旺盛な需要は、ホモロゲーション要件の3倍を超える1580台を生産するまでに至らしめたのだ。そして、このうち200台は「M471ライトウェイト」オプション仕様として生産されることになった。 このファクトリーオプションは、既存の「スパルタンな装備」さえも内装から取り除き、より薄いボディパネルとガラスを装着して軽量化と性能向上を図っていた。それほど極端でない「M472ツーリング」への変更は、少なくともいくつかの快適装備を維持していた。 911 RS 2.7によって、ポルシェは熱心なエンスージアストたちをあっという間に魅了し、それは年を追うごとに強くなっていったのだ。
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