「トサ、俺の親父と一緒の歳だな」ラグビー土佐誠が英国で楽しむ“38歳の新入部員”生活「頭の病気、大麻事件、いろんなことがあったけど…」
波乱万丈のラグビー人生を過ごしてきた土佐誠(38歳)が今、英国で見据える未来の姿とは? 〈NumberWebインタビュー全2回の後編/前編も公開中〉 【画像】「まだ頭には手術痕が…」波乱万丈すぎるラグビー人生・土佐誠のいま「ケンブリッジ大をチャリ移動する38歳」「五郎丸にタックルする土佐」箕内・山村・稲垣…スゴいFW輩出した名門・関東学院ギャラリーも見る(80枚超) 現役引退後の昨夏、ケンブリッジ大学のジャッジ・ビジネススクールに合格した土佐誠は、2023年9月から大学院生としての日々を送っている。経営学修士(エグゼクティブMBA)の取得に向けて、ビジネスマネジメントやリーダーシップについて学びながら、ラグビー部にも所属している。 キャンパスを歩くと、一際体が大きく見つけやすいことも相まってか、よく声をかけられる。クラスメイトや大学職員、さらにはチームメイトのガールフレンドだという女性まで。人によって態度を変えず、誰にでも温厚な土佐は人気者だ。 ただ、講義は毎日あるわけではなく、月に数回。その分、次回の講義までには大量の課題が出る。一方で、三菱重工の社員という顔を持つ土佐は、日本にいる間は相模原のオフィスに通う。課題はグループワークが多く、日本にいる時は時差に合わせながらビデオチャットを通じて取り組む。妻と2人の子供の協力もありながら、日々を乗り越えている。
なぜ今もラグビーをするのか?
ラグビーを続けたのは、プレーしたかったのはもちろん、プレーすることでしか生まれない人間関係の広がりも一つの要因だった。関東学院大学を卒業してから留学したオックスフォード大学で、すでにその重要性を感じていた。毎月の航空券は全て自費。講義を受けるためだけに数十万円をかけて往復するのはもったいない。できる限り多くのことを体験しようと思った。ラグビー部の卒業生が置いていった自転車を譲り受け、広大なキャンパスの中にある学舎とグラウンドを行き来している。 チームでは最年長の土佐。38歳の新入部員という立ち位置を楽しんでいる。土佐のような部員は珍しいケースではなく、その前には当時37歳の元イングランド代表選手が在籍していた。それでも、チームで土佐の次に若いのは27歳の研修医。ミレニアル世代からZ世代のド真ん中まで、チームメイトの幅は広い。 そんな多様な仲間たちとやるラグビーは、とにかく楽しい。ラグビーを始めた高校生の頃に戻ったように、純粋にラグビーが楽しいのだ。 「練習して、試合して、結果出して。結果がダメでも、みんなでご飯食べて話して、次も頑張ろうって。年齢は全く関係なくて、本当に楽しませてもらっています。若い子たちの激しいノリにはもうついていけないですけどね。この前は、19歳のチームメイトに“トサ、俺の親父とほとんど一緒の歳だな。なんなら、俺の親父より先に生まれてるぞ”って言われました。年は離れていますが、みんな僕の面倒をよく見てくれます」 今年3月には、2回目のバーシティマッチ出場を果たした。8番で出場した土佐はフル出場。ゴール前スクラムの持ち出しからトライも決め、勝利に貢献した。前回、オックスフォードで出たのは15年前。 互いを“The other place”(あちら側)と呼ぶライバル関係にある両校がゆえに、当時の旧友たちには少しだけ咎められた。表彰式では、土佐の姿が見当たらなかった。プレッシャーから解放され、記念カップを片手にはしゃぐチームメイトたちの後ろに隠れていた。旧友たちへの敬意だった。正式な記録には残っていないが、過去にオックスブリッジ双方でブルーを得たのは、153年の歴史で土佐が6人目だと言われている。
【関連記事】
- 【こちらも読む/前編】関東学院大ラグビー大麻事件で活動自粛、意識失い脳てんかん闘病→開頭手術「なんで俺だけ…」波乱万丈すぎるラグビー人生・土佐誠38歳は今
- 【記事写真】「まだ頭には手術痕が…」波乱万丈すぎるラグビー人生・土佐誠のいま「ケンブリッジ大をチャリ移動する38歳」「五郎丸にタックルする土佐」箕内・山村・稲垣…スゴいFW輩出した名門・関東学院ギャラリーも見る(80枚超)
- 【消えた天才】戦力外通告→所属チーム不祥事が発覚…天才ラグビー選手を襲った苦難の連続「幸太朗と順平のW杯はバイトしながら見た」「引退の連絡はしていない」
- 【必読】「リーチさんの喜んでる顔を見たい」リーチマイケル35歳が後輩たちに慕われまくる理由…キャプテン拒否から一転「ビールをたくさん飲ませ…」
- 【異例の転身】合格率1%…難関を突破して夢を叶えた女性パイロット「超多忙」なのになぜラグビーのレフリーを?