「トサ、俺の親父と一緒の歳だな」ラグビー土佐誠が英国で楽しむ“38歳の新入部員”生活「頭の病気、大麻事件、いろんなことがあったけど…」
「楽しむ」ことへの渇望
目標としているMBAを取得してからのことは、まだ何も決まっていない。修了式は来年5月。そのあとは、漠然とコーチやマネジメントへの道は見ているものの、そこに固執しているわけでもない。たとえスポーツから離れても、自分が所属している環境や周りを良くできて、チームで何かをできるなら、それでいい。 ゴールに向かって、みんなで走るのが好き。それはラグビーから教わった。先行きはまだわからなくとも、土佐に不安は微塵も感じられなかった。むしろ、何にだってなれるという一層の自信が見えた。 「いま勉強していることと全く関係のないような、例えばグラウンドの手入れとかやってるかもしれません。それでも、みんなと楽しくできればいいんです」 取材を通して、土佐は「楽しく」という言葉を繰り返していた。そこには、普段この言葉から感じられないような重みがあった。大麻事件での自粛、そこから主将としての奔走。病気になって、練習や運転、日常にある普通を諦めたこともあった。当たり前のありがたみを痛いほど知った。思うようにいかなかった人生の時間が長かった。 だからこそ、楽しむことへの渇きが止めどなく溢れているようだった。 《前編から続く》
(「ラグビーPRESS」中矢健太 = 文)
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