大場久美子、女優再始動へ 1億人の妹はいま
70年代後半に“1億人の妹”とのキャッチフレーズで一世を風靡した、大場久美子。わずか2年間のアイドル活動で人々に鮮烈な印象を残した後は、もともと志望していた女優に戻ったが順風満帆とはいかず、40代の頃はパニック障害に苦しむなど紆余曲折の半生を送った。現在は女優を続けるとともにボランティアなど社会貢献を意識した活動や講演、心理カウンセラー、エステティシャン、動物愛護などさまざまなことに情熱を注いでいる。また、本業の女優業でも近々、嬉しいニュースが聞けそうだ。ただいま59歳、なお笑顔で人々を明るくさせ続ける大場に聞いた。
いじめに遭った少女期から好きだったもの作り
「東日本大震災を機にボランティアを始めつつ、いろんな資格も取りつつ、やっとそれを活用し始めたところなんです。女優以外にも講演活動やエステティシャンなど、さまざまなことをやっているので、『どこ向いているの?』という感じなのですが、“人の役に立ちたい”という部分では共通しているんです」 いじめに遭い登校拒否で引きこもっていたという子どもの頃から、テレビだけは観ていて、クリエイティブなことが大好きだったと振り返る。アイドル時代も、いろいろな人と一つの作品を作り上げていくレコーディングが一番好きだったそうだ。 「私が出演したハウスプリンのCMの音楽を担当したプロデューサーさんが、ディズニーや劇団四季の音楽プロデュースに携わった方で、越路吹雪さんはじめ大先輩方の作品を手がけておられたのですが、CMソングを誰に歌わせるかという話になったときに『この、画面に出ている子に歌わせればいいんじゃない?』とおっしゃったんです」 ちょうどその頃、1977年に同じプロデューサーが手がけた「あこがれ」で歌手デビュー、一気にアイドルへの道が拓けたわけだが、歌唱に関しては「練習しなくていいよ」と言われたという。
“完璧”より“危なっかしさ”求められたアイドル歌手
「“妹”が完璧になっちゃうとみんなが応援しようって気にならないから、いまの危なっかしい感じがいいんだ、と。その背景には、『あなたは女優さんだし、芝居に戻られる方なので、こういう歌い方、こういう捉え方をしなさい』っていう教えもあったんです」 確かに当時の大場の楽曲を聴くと、アルバムのB面はミュージカル風の構成だったり、コンサートも2部構成で芝居やミュージカルを取り入れてセリフをしゃべる場面もあった。 「日劇で1日3回とかショーをやらせていただいたのですが、3階の奥の奥までお客さまがいらっしゃって、気持ちをそこに向けるんですよ、と。そういう教えが、芝居の世界に戻ってもすごく活きているんです」