湖池屋の高級ポテチ戦略 「ジリ貧スナック市場」からの脱却
オープン価格160円前後で、内容量53g
これまでプライドポテトシリーズで得た実績や手応えを元に、同社はプレミアムなポテトチップスの投入を加速する。 2024年5月から、新たに「日本の神業」シリーズの展開を開始した。国産のじゃがいもに、全国各地の名産品の味付けをのせたシリーズ商品を、160円前後(価格はオープン、内容量53g)で順次発売する。 フレーバーもバラエティー豊かだ。5月20日発売の「手摘みオリーブ」と「神戸ビーフ」、6月24日発売の「京都柚子七味」と「九州焼のり醤油」、7月15日発売の「くまもとあか牛」と「縄文香る帆立だし」、11月発売予定の「金沢の甘えび」と、ユニークな7種類のフレーバーをそろえる。 「『日本の神業』シリーズの特徴は、世界に誇る日本食材や生産者の魅力を、プライドポテトを通して発信。我々が一方的に食材や味付けを選定するのではなく、生産地が薦める食材や味付けの声を取り入れて開発している。神戸ビーフの場合は、現地の商店街で神戸牛が入ったコロッケを食べたり、現地でオーソドックスな塩やすき焼きを試したりと、地元由来の食べ方を参考にした」(志鎌氏) パッケージは、表面に食材のビジュアルを大々的に出し、裏面に原材料の説明や物語性を記載した。 他社のスナック菓子のパッケージが、中身のシズル感を前面に出して、量が多いことをわかりやすく訴求している中、上質な商品であることが伝わるように工夫。さらに、1袋あたり1円を生産地に寄付することも明示し、社会貢献の要素も訴求した。 「神業シリーズのターゲットは、30~50代の女性で、こだわりを持って生活している層。大人の女性がポテトチップスを持ち運んでも、違和感がないようなパッケージにこだわり、ごほうびやくつろぐ時間のお供としても満足してもらえるように設計した。実際に、他のブランドと比べても、狙い通りの結果が出ている」 かつては「安い」「大容量」が売りだったスナックも、ターゲットや訴求方法を軌道修正しないと生き残っていけない時代。いち早く、市場のニーズをくみ続けている湖池屋の商品展開から目が離せない。
佐藤 隼秀