カナダ財務相辞任、トランプ関税対応巡り首相と対立 後任に公安相
[オタワ 16日 ロイター] - カナダのフリーランド副首相兼財務相が16日、辞任した。トランプ次期米大統領が掲げる関税への対処法などを巡りトルドー首相と意見が対立した。既に支持率低迷に苦しむ政権にとって想定外の打撃となった。 フリーランド氏はトルドー氏に充てた書簡をXで公表し、「ここ数週間、われわれはカナダにとって最善の道筋を巡り意見が対立していた」と述べた。 また、トランプ氏が警告しているカナダからの輸入品に対する新たな関税は重大な脅威だと指摘。「関税戦争に必要となり得る財政資金を温存し、余裕のない費用のかかる政治的策略を避ける」ことが重要だとして、トルドー氏が目指す支出拡大計画を批判した。 フリーランド氏は13日、別のポストに就くようトルドー氏から打診されたという。 国内メディアによると、両氏は一時的な減税案やその他の支出措置を巡り対立していた。 後任にはトルドー氏に近いルブラン公安相が任命された。 カナダ放送協会(CBC)によると、与党・自由党は16日に会合を開く予定だが、詳細は不明。同党の議員2人はトルドー氏の辞任を改めて求めた。 フリーランド氏はこの日、議会で政府による「秋の経済声明」を公表する予定だった。同氏は2020年から財務相を務めており、突然の辞任は、来年の総選挙を控えトルドー政権に痛手となる可能性がある。 左派野党、新民主党のシン党首もトルドー氏の辞任を要求した。野党がトルドー首相の不信任案決議で結束すれば、トルドー氏退陣の可能性もあるが、議会はクリスマス休会に突入し来年1月27日まで再開しないため、いかなる動きもそれ以降となる見通し。 調査会社ナノス・リサーチの創設者ニック・ナノス氏は「自由党はリーダーシップを巡り危機に陥るだろう。トルドー氏にとって政治的にも個人的にも打撃だ」と述べた。 16日の取引でカナダドルは一時、対米ドルで4年半ぶり安値を付けた。