生活保護不支給問題「桐生市の闇が見えてきた」 専門家ら“カラ認定”や“ハンコの不正使用”などの検証を求める要望書を提出
「アグレッシブな指導」発言には「反省の色が見えない」
9月18日、NHKの報道ドキュメンタリー番組「クローズアップ現代」で桐生市の生活保護未払い問題が取り上げられた。 番組内では、市が申請者に対し「ハローワークに通って求職活動をすれば1日1000円の保護費を支給する」と指導していたことを取り上げ、市の保健福祉部長による「アグレッシブに指導したというようなところはあったのかと思う」との発言も放送された。 しかし、ハローワークに通わされた申請者のなかには、糖尿病をり患し毎日のインスリン注射が不可欠な人もいた。一般社団法人「つくろい東京ファンド」の小林美穂子氏は、保険福祉部長の発言について「反省の色が見えないことに、大変失望している」と語った。 「第三者委員会の追及に頼るしかないという状況であったところ、NHKが取り上げた。ネットとは異なり、テレビ番組は高齢者にも届く。同じような目に遭っている人が声を上げて、助けを求められることを期待したい」(小林氏) 「つくろい東京ファンド」代表理事の稲葉剛氏は「調査の結果、桐生市の闇が見えてきた」とコメント。また、同様の問題が全国各地で起こっている可能性も指摘。 渡邊恒・桐生市市議会議員は、「市議会で『生活保護の不支給は法に反していた』との答弁がようやく出る状況になった」と語り、これからも問題を追及していく意気込みを示した。 「桐生市生活と健康を守る会」の山形孝氏は、保護申請者が職員から「背広やネクタイを購入してこい」と命令された事例や、エアコンを必要としていた保護利用者が市に問い合わせたところ、エアコン購入代は生活保護費から支給されることを市が説明しなかった事例などについて語った。 「市は、制度の説明をわざと怠った。また、利用者のなかには『いじめられるから、もう市役所には近づきたくない』と言った人もいる。生活保護は『人権の保障』であるという理解を広めていきたい」(山形氏)
弁護士JP編集部