黒田がまだ見れる?!「可能性があれば準備するだけ」
日本シリーズの第3戦が25日、札幌ドームで行われ、日ハムが延長10回、大谷翔平(22)のタイムリーでサヨナラ勝利、シリーズ初勝利を挙げた。広島の先発は、このシリーズ限りでの引退を公表していた黒田博樹(41)。両足のハムストリングスに異常が発生したため、6回途中で緊急降板したが、5回3分の2を4安打1失点にまとめる85球の気迫に満ちた粘投だった。試合後、黒田は、「まだまだチームの役に立ちたい」と、今後シリーズが第7戦までもつれた場合の中4日先発への意欲を見せた。 黒田vs大谷。注目の対決は、初回一死からライト前ヒットの近藤を一塁に置いた場面で訪れた。 「3番・DH」の大谷を迎えた黒田の初球は、外角へのツーシーム。だが、これを逆方向へ狙い打たれた。打球は三塁線をゴロで抜けていく二塁打。一死二、三塁のピンチを背負って中田をショートゴロに詰まらせたが、守備隊形は定位置で、その間、三塁走者が生還して先制点を許す。 だが、カープナインは「黒田の最後を勝たせたい」の気持ちで団結していた。先発の有原を攻め、二回一死一塁からエルドレッドがライトスタンドへ逆転2ラン。 「カットボールだろう。追い込まれていたので、コンパクトにバットを出すことを心がけた。うまく芯で捉えることができた」。エルドレッドのシリーズ3試合連続の本塁打でゲームをひっくり返すと、ベンチ前でキャッチボールをしていた黒田は、表情を変えずに右手でガッツポーズを作った。 ちなみに日本シリーズの3戦連発は、西鉄の中西太、阪神のランディ・バース、ダイエー(現ソフトバンク)の城島健司、阪神の金本知憲に続く5人目の快挙だ。 黒田は、援護をもらった直後の二回から立ち直る。 ホームベースを幅広く使う抜群の制球力で凡打の山を築き、4回は、大谷に甘く入ったカットボールを引っ張られて右中間二塁打にされたが、中田をセカンドフライ、岡を一ゴロ、二死三塁となってレアードもライトフライ。無死二塁の同点ピンチを持ち前の粘り強さで切り抜けた。 しかし、6回一死から大谷との3度目の対戦をフォークでタイミングを崩しレフトフライに打ち取ったところで、右足のふくらはぎがつった。体をかがめ、一度、治療のためベンチへ下がった。テーピング処置をしてマウンドに戻り、ピッチング練習を行ったが、今度は両足のハムストリングスに強い張りを感じた。黒田自身が、畝投手コーチに続投が不可能なことを伝え、カープファンだけでなく日ハムファンの温かい拍手も受けながら降板した。 85球、6回3分の2、4安打1失点。持ち前の円熟テクニックと打者へ向かっていく気迫で見事に1失点にまとめた。最後に大谷への全身全霊をかけた投球で、足がつって緊急降板したのも象徴的なシーンだった。