「更年期の栄養」イソフラボンに加えて、カルシウムやビタミンDが必要な理由【管理栄養士監修】
40代くらいから、女性がじわじわ気になってくるワード「更年期」。ホルモンバランスの変化に伴う諸症状を指しますが、個人差も大きいと聞くし、何かできることがあるのか分からないし、漠然と「心配だなあ……」と思っている人も多いのではないでしょうか。 【画像4枚】女性ホルモンの「エストロゲン」の変化をグラフで見る。急速に減少し、ホルモンバランスが乱れやすくなる年齢は? その不安、食べるものなどで対策できることもあるんです。管理栄養士の宮崎 奈津季さんに、「更年期とは?また、不快な症状を和らげる食生活のヒントとは?」というテーマで教えてもらいました!
ホルモンバランスの変化が原因の「更年期」
こんにちは、管理栄養士の宮崎 奈津季です。今回は女性には様々な症状があらわれる「更年期」とその期間の食生活について解説します。 女性の場合の更年期とは、閉経を挟んだ10年間のことをいいます。日本人の平均閉経年齢は50.5歳とされており、おおよそ45~55歳が更年期にあたります。 この時期は女性ホルモンの「エストロゲン」が急速に減少し、ホルモンバランスが崩れがちです。それにより、自律神経が乱れて自律神経失調症のような症状が起こることがあり、これを更年期障害と呼んでいます。 代表的な症状としては、冷えやのぼせ、肩こり、いらいら、めまいなどがあります。また、更年期に分泌が減少するエストロゲンには、骨からカルシウムが流出するのを抑えたり、コレステロールの値をコントロールする働きがあります。そのため、骨密度の低下や血中コレステロールの増加などにはより気を付けてほしい時期です。 ただし、更年期障害の症状は全ての女性に起こるわけではなく、症状の種類や程度にも個人差があります。
更年期障害の症状を和らげる食生活のヒント
♦️基本は「バランスの良い食事」! 更年期の食事の基本は、「バランスの良い食事」です。ホルモン分泌の乱れや更年期障害などの症状から、食事が乱れてしまい、エネルギーをはじめとしたさまざまな栄養素が過剰になったり不足してしまうと、健康に影響を及ぼすためです。 たんぱく質やビタミン、ミネラルのそろったバランスのとれた食事は、自律神経失調症のような症状やメンタル面の症状をやわらげたり、免疫機能の強化にもつながることが期待できます。 自分の食事のバランスをチェックするには「食事バランスガイド」がわかりやすいです。ぜひ、今の食生活を振り返るために活用してみてください。 ♦️大豆に含まれるイソフラボンを積極的にとる 更年期に減少する女性ホルモン「エストロゲン」に似た作用のある成分として知られているのが「イソフラボン」です。 これは、大豆・大豆製品に含まれるポリフェノールの一種で、更年期症状の緩和や、骨密度の低下による骨粗しょう症、コレステロール増加の予防に役立つことが期待できます。納豆や豆腐、油揚げなどを食事に取り入れてみましょう。 ♦️カルシウムやビタミン類も忘れずに! また、更年期の女性は、骨密度が急激に低下するため、骨粗しょう症のリスクが高まります。そのため、カルシウムは意識して摂取しておきたいです。カルシウムの吸収を助けるビタミンDも必要になるので、セットでとるようにしましょう。 カルシウムが豊富で効率よく吸収されるものは乳製品ですが、とりすぎると脂質の過剰摂取につながることもあります。牛乳、チーズ、ヨーグルトは1日のどこかで適量(牛乳ならコップ1杯程度)を取り入れるようにすると良いですね。 更年期に必要な栄養素などを意識しつつ、まずは健康的な生活を心がけましょう。もちろん症状がつらい場合は、我慢せずに婦人科で医師に相談することをおすすめします。 【参考文献】 ・飯田薫子、寺本あい「一生役立つ きちんとわかる栄養学」西東社(2019) ・吉田企世子、松田早苗監修「正しい知識で健康をつくるあたらしい栄養学」髙橋書店(2021) ・厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」(閲覧日:2024年8月19日) ・厚生労働省「『食事バランスガイド』について」(閲覧日:2024年8月19日)
宮崎 奈津季
管理栄養士・薬膳コーディネーター。介護食品メーカーで営業を2年間従事した後、フリーランスの管理栄養士に。料理動画撮影やレシピ開発、商品開発、ダイエットアプリの監修、栄養価計算などの経験あり。 現在は、特定保健指導、記事執筆・監修をメインに活動中。 HP:https://www.mnatsuki.com/ X:https://twitter.com/NatsukiMiyazak1 ※「崎」は正式には立つ崎(たつさき)です
宮崎 奈津季